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世界のアクアスロン注目選手まとめ|世界王者からAge Groupのレジェンドまで

日本のアクアスロン選手を調べたら、次に気になるのは当然、

「世界では誰が強いのか?」

ということになる。

ところが、これが意外に分かりにくい。

陸上なら世界的なスター選手がいる。競泳にもいる。トライアスロンにもオリンピック王者やWTCS世界王者がいる。

一方、アクアスロンでは「アクアスロンだけを専門にするプロ選手」は多くない。

世界選手権にはトップトライアスリート、若手選手、マルチスポーツ系のスペシャリストなどが集まり、その年によって顔ぶれもかなり変わる。

そこで今回は、

近年の世界選手権実績
World Triathlonのアクアスロンランキング
複数年にわたる実績
Age Groupでの特徴的な実績

をもとに、「世界のアクアスロンを見るなら覚えておきたい選手」を整理してみたい。

※2026年9月21日時点。


まず知っておきたい。アクアスロン世界選手権は1998年から

World Triathlonによるアクアスロン世界選手権は1998年、オーストラリア・Noosaで始まった。

2017年以降はWorld Triathlon Multisport Championshipsの一競技として開催されている。

正式な世界選手権フォーマットは、

Run 2.5km
→ Swim 1km
→ Run 2.5km

である。

ただし水温などの条件によって、

Swim 1km → Run 5km

に変更される場合もある。実際、2023年Ibizaは1km+5km、2024年TownsvilleはRun-Swim-Run、2025年PontevedraはSwim-Run形式で実施された。

そのため世界選手権のタイムを比較するときには、距離と競技順を必ず確認する必要がある。


直近の世界王者

まず近年のエリート世界王者を並べてみる。

年 男子世界王者 女子世界王者
2023 Cristian Fernández Nieto(スペイン) Zsanett Kuttor-Bragmayer(ハンガリー)
2024 Kevin Tarek Viñuela González(スペイン) Maryna Kyryk(ウクライナ)
2025 Márton Kropkó(ハンガリー) Hanna Maksimava

2026年世界選手権は11月にアブダビで開催されるため、2026年9月時点ではMárton KropkóとHanna Maksimavaが現世界王者ということになる。

ここから主要選手を見ていこう。


Márton Kropkó――現在の世界王者、次世代の中心

現在もっとも覚えておきたい名前の一人が、ハンガリーのMárton Kropkó(マールトン・クロプコー)。

2005年生まれ。

2025年Pontevedra世界選手権では、

エリート男子世界王者

になっただけでなく、

U23世界王者

も同時に獲得した。

同年後半にはWorld Triathlon U23世界選手権でも2位に入っている。

World Triathlonのプロフィールでは、幼少期から水泳を行い、その後トライアスロンへ進んだとされている。

2026年9月時点ではアクアスロンランキング自体は41位だが、これはランキングが直近の複数レースへの出場数にも左右されるため、現世界王者=世界ランキング1位とは限らない。

まだ21歳。

今後アクアスロンだけでなく、通常のトライアスロンでもさらに上に進む可能性のある選手だ。


Kevin Tarek Viñuela――「アクアスロンが得意な選手」の代表格

アクアスロンという競技そのものへの適性という意味で非常に興味深いのが、スペインのKevin Tarek Viñuela González。

2024年Townsville世界選手権で優勝。

しかも本人は優勝後、

スペイン選手権、欧州選手権、世界選手権の3冠を達成した

ことを喜び、「本来のRun-Swim-Run形式が好き」と語っている。

2026年9月14日時点のWorld Triathlon Aquathlon Rankingでも世界3位。

World Triathlonで100大会以上のスタート経験があり、表彰台26回、優勝13回を記録している。

2026年欧州アクアスロン選手権でも3位。

つまり、一度たまたま世界選手権に勝った選手というより、

継続してアクアスロンで結果を残している選手

として覚えておきたい。


Maryna Kyryk――「スイムで勝つ」世界王者

女子で非常にアクアスロンらしい勝ち方を見せたのが、ウクライナのMaryna Kyryk。

2024年Townsville世界選手権を制した。

この大会は、

2.5km Run
→1km Swim
→2.5km Run

という形式。

Kyrykは最初の2.5kmランを8分21秒で走り、その後スイムでライバルを突き放した。

World Triathlonもレース記事のタイトルを、

「super swimで世界タイトルへ」

という趣旨で紹介している。

最終タイムは32分17秒。

ランだけ速いのではない。

スイムだけ速いのでもない。

しかし勝負を決めたのは圧倒的なスイム。

アクアスロンにおける、

「自分の得意種目をどこで使うか」

という戦術を考える上で分かりやすい選手である。


Hanna Maksimava――2025年女子世界王者

2025年Pontevedraで女子世界タイトルを取ったのがHanna Maksimava。

世界選手権では32分57秒で優勝。

World Triathlonでの通算成績も非常に多く、

100大会以上出場
35回表彰台
28勝

という実績を持つ。

さらに2025年世界選手権ではアクアスロンだけでなく、ロングディスタンストライアスロンにも出場して5位。

短時間高強度のアクアスロンから長距離までこなしている。

典型的な「アクアスロン専門選手」というより、

総合的なマルチスポーツ能力が非常に高い選手

と見る方がよさそうだ。


Zsanett Kuttor-Bragmayer――オリンピアンがアクアスロン世界王者に

知名度まで含めて押さえておきたい女子選手が、ハンガリーのZsanett Kuttor-Bragmayer。

2023年Ibiza世界選手権を制した。

この大会は、

Swim 1km+Run 5km。

同じ大会期間中に行われたデュアスロン世界選手権で銀メダルを取ったわずか2日後に、アクアスロンで金メダルを獲得した。

さらに彼女は東京2020、パリ2024にも出場したオリンピック・トライアスリート。

World Triathlonで170大会以上に出場し、32回の表彰台、17勝というキャリアを持つ。

つまり世界のアクアスロンでは、

オリンピックレベルのトライアスリートが突然世界選手権に出てきて勝つ

こともある。

これがアクアスロン世界選手権の面白さであり、厳しさでもある。


Cristian Fernández Nieto――4秒差を制した2023年王者

2023年男子世界王者はスペインのCristian Fernández Nieto。

タイムは29分04秒。

2位Christopher Perhamが29分08秒。

3位Jimmy Lundが29分13秒。

上位3名が9秒以内だった。

アクアスロンの世界トップレベルでは、

数秒で世界タイトルが決まる。

トランジション。

ブイの回り方。

ドラフティング。

最後の数百メートル。

すべてが順位に直結することを象徴する結果である。


Christopher Perham――何度も世界上位に来る選手

世界選手権を継続して見るなら、イギリスのChristopher Perhamも覚えておきたい。

2023年世界選手権2位。

2025年世界選手権3位。

そして2026年9月時点でもWorld Aquathlon Ranking17位に入っている。

世界選手権は毎年強豪トライアスリートが入れ替わるため、複数大会で表彰台に乗ること自体に価値がある。


現在のランキング1位は世界王者ではない

2026年9月14日時点のWorld Triathlon Aquathlon Rankingを見ると面白い。

男子1位は、

Tin Rebić(クロアチア)。

女子1位は、

Lana Gavrilović(セルビア)。

である。

男子の上位は、

順位 選手
1 Tin Rebić
2 Šimon Koblížek
3 Kevin Tarek Viñuela González
4 Julen Andueza Valencia
5 Filip Vilenica

女子は、

順位 選手
1 Lana Gavrilović
2 Zeljka Milicic
3 Shahd Walid
4 Marina Muñoz Hernando
5 Jázmin Kropkó

となっている。

ランキングは直近52週間のベスト3レースを中心にポイントを積み上げる方式。

したがって、

世界選手権を一発で勝つこと

と、

年間を通じて複数のアクアスロンで結果を残すこと

は別なのである。


Tin Rebić――2026年ランキング男子1位

現在のランキングトップがクロアチアのTin Rebić。

2004年生まれ。

2025年Africa Aquathlon Cup Hurghadaで3位、Africa Aquathlon Championshipsでも上位に入り、2026年にもAfrica Aquathlon Cupで3位に入るなど、複数大会でポイントを積み重ねている。

世界選手権一発型ではなく、

アクアスロンシリーズを継続して戦っている若手

という意味で注目したい。


Lana Gavrilović――2026年女子ランキング1位

女子ランキング首位がセルビアのLana Gavrilović。

2004年生まれ。

2025年Africa Triathlon Aquathlon Championshipsでは優勝。

2026年9月時点までにWorld Triathlonで8勝を挙げ、Aquathlon Ranking1位となっている。

2026年欧州選手権のエリートでは21位だったことからも、

「通常のトライアスロンのランキング」と「アクアスロン適性」は必ずしも同じではないことが分かる。


Jázmin Kropkó――16歳で世界エリート3位

将来性という意味で非常に注目したいのが、ハンガリーのJázmin Kropkó。

2009年生まれ。

2025年世界選手権では、

Junior女子世界王者

になっただけでなく、

エリート女子でも3位。

つまり15~16歳の選手が、エリート世界選手権の表彰台に上がった。

2026年欧州アクアスロン選手権でもJunior優勝、エリート4位。

1kmスイムを13分07秒でトップ通過している。

しかも兄が2025年男子世界王者Márton Kropkó。

世界のアクアスロンを見るなら、

Kropkó兄妹

は今後かなり注目したい存在である。


歴史を知るならRichard Varga

ここからは少し過去に遡る。

アクアスロン史を語る上で外せないのが、スロバキアのRichard Varga。

Vargaは、

2010年
2012年
2013年
2015年

と、4度アクアスロン世界王者になった。

本職のトライアスロンでも世界トップクラスのスイマーとして知られていた選手で、アクアスロンではその泳力が極めて大きな武器になった。

「歴代最強のアクアスロン選手は誰か」という議論をするなら、必ず候補になる選手だろう。


Alistair Brownleeもアクアスロン世界王者

そして非常に有名な名前もある。

Alistair Brownlee。

ロンドン2012、リオ2016の男子トライアスロン・オリンピック2連覇。

そのBrownleeが2016年Cozumelのアクアスロン世界選手権に出場。

結果は、

1位 Alistair Brownlee 28:58
2位 Richard Varga 29:03
3位 Tommy Zaferes 29:18。

アクアスロン世界王者になった。

ここからも、アクアスロンという競技の特殊性が分かる。

「アクアスロン専門選手だけの世界選手権」ではない。

世界最高クラスのスイム+ラン能力を持つトライアスリートが参戦すれば、当然そのまま優勝候補になる。


エリートだけではない。Age Groupの世界もかなり面白い

そして一般の競技者にとって、より身近なのがAge Group。

世界選手権では5歳刻みで世界チャンピオンが決まる。

2024年Townsville大会を見ると、

50-54歳男子だけで40人。

55-59歳男子33人。

45-49歳女子29人。

など、かなり大きなカテゴリーになっている。

日本のAge Group選手にとってはこちらの選手たちが直接のベンチマークになる。


David Peedom――M50-54で32分53秒

特に衝撃的なのが、オーストラリアのDavid Peedom。

2024年世界選手権M50-54で、

32分53秒。

40人のカテゴリーを制した。

2位が33分31秒、3位35分21秒だった。

さらに全Age Group男子を年齢に関係なく並べても14位。

40代の多くの世界王者より速い。

Age Groupでは、

50歳を超えたら世界タイトルのレベルも大幅に低くなる

という考えは通用しない。

世界トップクラスの50代は、普通に33分前後でRun-Swim-Runを終える。


Benjamin Wright――40代になって世界王者

2024年M40-44世界王者はオーストラリアのBenjamin Wright。

タイムは32分57秒。

興味深いのは、その競技歴だ。

2009年の25-29歳世界アクアスロン選手権4位。

2010年5位。

そして14年後の2024年、

40-44歳世界王者。

Age Group競技の魅力を象徴するようなキャリアである。

20代で世界トップ5。

そこから競技を続け、

40代でついに世界タイトルを獲得する。


Belinda Soszyn――Age Groupアクアスロンのレジェンド

Age Groupで「有名選手」という表現が最も似合う一人が、オーストラリアのBelinda Soszynだろう。

2024年Townsville世界選手権。

70-74歳カテゴリーで世界チャンピオン。

しかし驚くのはここからだ。

World Triathlonの記録では、

2009年 M55-59 アクアスロン世界王者
2012年 M55-59 アクアスロン世界王者
2024年 F70-74 アクアスロン世界王者

となっている。

AusTriathlonによればTownsvilleの優勝はキャリア5個目の世界タイトルで、12年ぶりの世界選手権出場だった。

これは非常に象徴的だ。

50代で世界王者。

60代を経て、

70代でも世界王者。

Age Groupスポーツとしてのアクアスロンの魅力を最も分かりやすく示す選手の一人だと思う。


Peter Smith――80代の世界チャンピオン

さらに上には80代がいる。

オーストラリアのPeter Smith。

2024年Townsvilleの80-84歳男子アクアスロン世界選手権を、

1時間09分21秒

で制した。

さらに同じ大会期間のスプリント・デュアスロンでも3位。

2022年のAge Group Sprint Triathlon世界選手権では80-84歳で2位だった。

アクアスロン世界選手権には80代、さらに大会によっては85-89歳のカテゴリーまである。

「競技スポーツを何歳まで続けられるか」という問いに対して、非常に強い答えを見せてくれる。


Age Groupはオーストラリアが非常に強い

2024年Townsvilleはオーストラリア開催という地の利はあるが、それを考慮してもオーストラリア勢の強さは目立つ。

2024年Age Groupアクアスロン世界選手権では、

Benjamin Wright
Kym Coogan
Joanne Primmer
David Peedom
Kim Bowling
Kevin Fergusson
Belinda Soszyn
Greg Salter
Stephen Parnell
Peter Smith

など、多数のオーストラリア選手が世界タイトルを獲得した。

日本から世界タイトルを目指す場合、

オーストラリア、イギリス、スペイン、ニュージーランドなどのAge Group強豪

を意識する必要がある。


現在の世界アクアスロン人物相関図

2026年時点でかなり単純化すると、こんな見方ができる。

タイプ 選手 主な特徴
現世界王者 Márton Kropkó 2025 Elite+U23世界王者
現世界王者 Hanna Maksimava 2025女子世界王者
現ランキング1位 Tin Rebić 2026男子Aquathlon Ranking 1位
現ランキング1位 Lana Gavrilović 2026女子Aquathlon Ranking 1位
アクアスロン強豪 Kevin Tarek Viñuela 2024世界王者、欧州・国内でも強い
スイム型世界王者 Maryna Kyryk 2024世界王者
世界選手権常連上位 Christopher Perham 2023銀、2025銅
次世代 Jázmin Kropkó 2025 Junior世界王者+Elite銅
歴代レジェンド Richard Varga 世界選手権4勝
超大物王者 Alistair Brownlee 五輪2勝+2016アクアスロン世界王者
Age Group M50 David Peedom 2024 M50-54世界王者32:53
Age Group長期活躍 Benjamin Wright 20代世界上位→40代世界王者
Age Groupレジェンド Belinda Soszyn 複数年代で世界タイトル
生涯スポーツ Peter Smith M80-84世界王者

これは「強さランキング」ではない。

世界のアクアスロンを見るときに、背景を知っていると面白い選手たち

という整理である。


世界のアクアスロンには「絶対的スター」がまだいない

調べてみて興味深いのはここだ。

陸上100mならスターがいる。

競泳にもいる。

トライアスロンにも世界シリーズを一年間追うスターがいる。

しかしアクアスロンでは、

2023 Cristian Fernández Nieto
2024 Kevin Tarek Viñuela
2025 Márton Kropkó

と、男子世界王者が毎年変わっている。

女子も、

2023 Zsanett Kuttor-Bragmayer
2024 Maryna Kyryk
2025 Hanna Maksimava

と毎年別の選手だ。

一方、歴史を遡ればRichard Vargaの4勝という存在もいる。

現在は、

新しい「アクアスロン専門スター」が生まれる余地が大きい時代

とも言える。


これはAge Groupでも同じ

Age Groupではさらに面白い。

エリートと違って、

20代
30代
40代
50代
60代
70代
80代

と、それぞれに世界王者がいる。

したがって、

「世界で一番速い人」

だけを見る競技ではない。

「自分と同じ年代で世界一は誰なのか」

を見る競技でもある。

50-54歳ならDavid Peedom。

70代ならBelinda Soszynのような選手がいる。

そのタイムを見ることで、

「世界一まであと何分なのか」

を具体的に知ることができる。


世界の選手を知ると、世界選手権が急に現実になる

世界選手権という言葉だけを見ると、非常に遠い世界に感じる。

しかしAge Groupのリザルトを見ると、

同じ年代の人がいて、

スイムタイムがあり、

ランタイムがあり、

トランジションのタイムまである。

つまり、

世界一との差を秒単位で測ることができる。

これはアクアスロンの面白いところだと思う。

例えばM50-54世界王者が32分53秒。

日本の同年代トップがどの程度なのか。

自分はどこで何分失っているのか。

スイムなのか。

ランなのか。

トランジションなのか。

数字にすれば、世界一は「漠然とした世界」ではなくなる。


今後注目したいのはKropkó兄妹と2026アブダビ

2026年の世界選手権は11月、UAE・アブダビで開催される。

注目したいのは、

2025年男子王者Márton Kropkó。

その妹で、2025年Junior世界王者かつElite3位のJázmin Kropkó。

2024年王者Kevin Tarek Viñuela。

そして現在のランキング上位勢。

一方で、世界選手権には通常のトライアスロンから突然強豪が参戦してくる可能性もある。

2016年のAlistair Brownleeがその典型だった。

だから世界アクアスロンは予想が難しい。

そして、それが面白い。


「アクアスロン選手」というカテゴリーはこれから大きくなるかもしれない

現在の世界アクアスロンを見ると、多くのトップ選手はトライアスロンを主競技としている。

しかしWorld Triathlonには独立したAquathlon Rankingがある。

世界選手権がある。

欧州、アジア、アフリカなどに大陸選手権がある。

Age Group世界選手権もある。

競技体系そのものはすでに存在している。

今後大会数が増えれば、

「トライアスリートが時々出るアクアスロン」

から、

「アクアスロンを主戦場とする選手」

が増えてくる可能性もある。

そしてAge Groupでは、その可能性はさらに大きい。

バイクがない。

海外遠征しやすい。

練習時間も比較的確保しやすい。

40代、50代、60代になっても世界タイトルを目標にできる。

Belinda Soszynのように70代になって世界一になることもできる。

世界の選手を調べてみると、

アクアスロンは単なる「トライアスロンからバイクを抜いた競技」には見えなくなってくる。

スイムとランという二つの能力だけで、20代から80代まで世界一を争える競技。

そう考えると、かなり面白い。


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日本のアクアスロン注目選手まとめ|日本選手権王者からエイジグループまで

アクアスロンを始めると、意外と困ることがある。

「日本では誰が強いのか?」

が分かりにくいのだ。

マラソンなら有名選手がいる。トライアスロンにもオリンピック選手やプロ選手がいる。

しかしアクアスロンの場合、「アクアスロン専門選手」という存在はまだそれほど多くない。

実際、日本アクアスロン選手権が現在の形で始まったのは2023年。日本エイジグループアクアスロン選手権はさらに新しく、2025年が第1回、2026年が第2回である。

つまり、日本の競技アクアスロンはまだ歴史が浅い。

しかもエリートでは、トップトライアスリートがアクアスロン日本選手権にも出場する構造になっている。

そこで今回は、「アクアスロン専門かどうか」にはこだわらず、

現在の日本アクアスロンを知るうえで押さえておきたい選手

をまとめてみたい。


まず日本選手権の歴代王者

現在の日本アクアスロン選手権は、エリートでは

Run 2.5km → Swim 1km → Run 2.5km

で行われる。

2023~2026年の王者は次の通り。

年 男子 女子
2023 大室杏夢 関桃子
2024 北條巧 島﨑茉央
2025 望月満帆 枡田日菜果
2026 望月満帆 島﨑茉央

まだ4大会しか行われていないが、この表を見るだけでも現在の日本アクアスロンの中心選手がある程度見えてくる。

特に、

望月満帆=男子唯一の連覇

島﨑茉央=女子唯一の2勝

という二人は、現時点で日本アクアスロンを代表する存在と言ってよいだろう。


望月満帆――現在の男子アクアスロンの中心

まず名前を覚えておきたいのが望月満帆。

トーシンパートナーズ・チームケンズ所属。

2025年日本選手権を29分34秒で制し、2026年も30分37秒で優勝。

日本アクアスロン選手権2連覇中である。

もちろんアクアスロンだけを専門にしている選手ではない。

World Triathlonのプロフィールでは国際トライアスロン大会への出場を重ねており、2026年にも複数のアジアカップに参戦している。

2025年の日本選手権では、男子2位の森松彩夢に10秒差。

アクアスロンは30分前後の短い競技だけに、10秒という差は決して大きくない。

その中で連覇している点は大きい。

現時点で、

「日本のトップアクアスロン選手は?」

と聞かれた場合、まず挙げるべき男子選手だろう。


北條巧――日本トップクラスのトライアスリートがアクアスロンでも日本一

競技全体の知名度まで含めるなら、最も有名なアクアスロン日本王者は北條巧かもしれない。

2024年日本アクアスロン選手権優勝者。

北條は本職のトライアスロンで、

2023年ワールドトライアスロンカップ初優勝、

そして2026年9月には愛知・名古屋アジア競技大会の男子トライアスロンで金メダルを獲得している。

つまり、日本アクアスロン選手権には、

世界レベルのトライアスリートも出場してくる。

ここはエイジ選手権とは大きく異なる。

エリート日本選手権は「アクアスロン専門家だけの大会」ではなく、スイムとランに非常に強いトップトライアスリートが直接競う大会なのである。


大室杏夢――「泳げて走れる」を体現する選手

2023年、第1回日本アクアスロン選手権男子王者が大室杏夢。

2025年大会でも3位に入っている。

大室の経歴を見ると、アクアスロンで強い選手がどのようなタイプなのか非常に分かりやすい。

1歳から水泳を始め、中学生時代には1500mで全国中学校大会に出場。

高校では陸上部を中心に活動し、1500mでインターハイにも出場している。さらにトライアスロンでは日本U19選手権、アジアジュニア選手権などでも実績を残している。

つまり、

競泳+中距離ラン+トライアスロン。

まさにアクアスロン向きの経歴である。

バイク能力の影響が消えるアクアスロンでは、「泳げて走れる」という身体能力がそのまま結果に表れる。

アクアスロンで強くなりたい人にとって非常に参考になる選手だ。


島﨑茉央――女子で唯一の2度の日本王者

女子で最も結果を残しているのが島﨑茉央。

2024年日本選手権優勝。

そして2026年にも34分48秒で優勝し、2度目の日本タイトルを獲得した。

さらに興味深いのは、島﨑がアクアスロンだけでなくデュアスロンでも強いこと。

2025年には日本デュアスロン選手権で優勝し、同年のワールドゲームズではデュアスロン女子5位に入っている。

スイム+ランのアクアスロン。

ラン+バイク+ランのデュアスロン。

両方で高いレベルにある。

「二種目を高速でつなぐ」というマルチスポーツへの適性が非常に高い選手と見ることができる。


枡田日菜果――2025年日本王者

枡田日菜果も現在の女子アクアスロンを語るうえで外せない。

2025年日本選手権では34分15秒で優勝。

横倉つぼみに11秒差、2023年王者の関桃子にも勝ってタイトルを獲得した。

大会前からTriathlon Japanが女子の注目選手として挙げており、直前の日本スーパースプリントトライアスロン選手権でも3位に入っていた。

ここでも分かるように、現在のエリートアクアスロンでは、

スーパースプリントトライアスロンに強い選手

との親和性がかなり高い。

短時間でスイムとランを高強度で処理する能力が重要だからだ。


関桃子――第1回女子王者、現在も上位を維持

第1回大会の女子王者が関桃子。

2023年に日本タイトルを獲得した後も、

2025年3位、

2026年4位。

と上位を維持している。

単年で勝つだけでなく、数年間トップレベルに残り続けているという意味で注目したい選手である。

World Triathlonのアクアスロンランキングにも名前が掲載されている。


ここからが面白い。「エイジグループの強豪」は誰なのか

一般のアクアスロン選手にとって、むしろ身近なのはこちらだろう。

日本エイジグループアクアスロン選手権。

エリートとは競技形式が異なり、

Swim 1km → Run 5km

で争われる。

年代は5歳刻みで、日本選手権では各年代男女1位が表彰される。

ただし、エイジ日本選手権は2025年に始まったばかり。

そのため「アクアスロン界の有名エイジ選手」という文化自体が、まだ形成されている途中だ。

その中でも、すでに突出した結果を残している選手がいる。


木村綾愛――現在もっとも目立つ女子エイジ選手

エイジグループで最初に覚えたい名前は木村綾愛だろう。

第1回大会となった2025年に、

36分10秒で女子総合優勝。

翌2026年は、

36分09秒で再び女子総合優勝。

なんと2年間でタイム差は1秒しかない。

つまり、

日本エイジグループ選手権が始まってから女子総合1位は2年連続で木村綾愛。

現時点では最も明確な「エイジのトップアクアスリート」である。

しかも木村はアクアスロンだけではない。

2025年のトライアスロン・エイジNCSスプリント25-29歳年間チャンピオンでもあり、八景島のスプリントトライアスロンでは女子総合優勝している。

「スイム+ランだけ強い」というより、総合的なマルチスポーツ能力が高い選手だ。


大谷勇翔――2026年男子エイジ総合優勝

2026年に強烈なタイムを出したのが大谷勇翔。

30-34歳カテゴリーで出場し、

31分52秒。

エイジ男子総合優勝を果たした。

2位の藤井龍生が33分03秒なので、1分以上の差をつけている。

エイジ選手権はSwim 1km+Run 5km。

31分台という総合タイムは、国内エイジレベルとして非常に高い。

今後継続して出場するのであれば、エイジアクアスロンを代表する存在になっていく可能性がある。


富内檀――初代男子エイジ総合王者

第1回大会の男子総合優勝者が富内檀。

2025年、

33分15秒

で初代エイジ日本選手権男子総合トップとなった。

富内はアクアスロンだけでなく、2025年ワールドトライアスロンシリーズ横浜大会のエイジトライアスロンでも30-34歳カテゴリー1位となっている。

木村綾愛と同様に、

アクアスロンだけのスペシャリストではなく、エイジトライアスロンでも強い。

現在の日本のエイジアクアスロンでは、こうした選手が上位に来るケースが多い。


笠原大康――45-49歳で総合2位というインパクト

エイジ選手権で非常に興味深い成績を残したのが笠原大康。

2025年大会では45-49歳カテゴリーながら、

34分45秒で男子総合2位。

30代や20代を含む全選手の中で2番目だった。

エイジグループの面白さを象徴する結果だと思う。

アクアスロンは5歳刻みの年代別競技ではあるが、全体のタイムを見ると、

40代後半でも若い年代と総合順位を争える。

特にスイムと5km走という二つの能力は、マスターズ年代になってもかなり高い水準を維持できる。


名倉和希――2025年男子総合3位

2025年大会で35-39歳カテゴリーから男子総合3位に入ったのが名倉和希。

タイムは35分13秒。

エイジ日本選手権は参加者数自体がまだ多くないため、今後出場者が増えると勢力図はかなり変わる可能性がある。

その意味でも、今後数年間継続して上位に入る選手が「エイジアクアスロンの有名選手」として定着していくのだと思う。


80代でも日本選手権――峰田正隆

もう一人紹介したいのが峰田正隆。

2025年の第1回エイジ日本選手権に80-84歳カテゴリーで出場し、

Swim 1km 31分41秒
トランジション 3分39秒
Run 5km 31分33秒
総合 1時間06分53秒

で完走し、M80-84で1位となった。

峰田はトライアスロンのエイジ競技にも継続して参加しており、2023年の海の森トライアスロンでも80-84歳カテゴリー1位だった。

トップ選手の速さとは違う意味で、エイジスポーツの魅力を象徴する存在だ。

アクアスロンは、

20代から80代まで同じ大会で競技できる。

これはかなり面白いスポーツ文化だと思う。


次世代で覚えておきたい2人――稲寛太と小山内梨乃

日本には2025年からU15アクアスロン日本選手権も設けられた。

そこで現在、非常に分かりやすい実績を残しているのが、

男子の稲寛太

女子の小山内梨乃

である。

二人とも、

2025年、2026年のU15日本選手権を連覇。

特に稲は2025年15分44秒から2026年14分37秒へと大きくタイムを伸ばしている。

今後トライアスロンへ進むのか、アクアスロンでも活躍を続けるのか。

数年後にエリート日本選手権で名前を見る可能性もあり、覚えておきたい世代である。


そして2026年に急浮上した西﨑大貴

若手でさらに驚かされるのが西﨑大貴。

2009年生まれながら、2026年のエリート日本アクアスロン選手権に出場。

望月満帆に続いて、

30分50秒で男子2位。

高校生年代でエリート日本選手権の表彰台に入った。

今後、日本アクアスロンだけでなく日本トライアスロン界でも注目したい選手の一人だろう。


現在の「日本アクアスロン人物相関図」

かなり単純化すると、現在はこんな構図になっている。

カテゴリー 注目選手 主な実績
エリート男子 望月満帆 2025・26日本王者
エリート男子 北條巧 2024日本王者、トップトライアスリート
エリート男子 大室杏夢 初代日本王者
エリート女子 島﨑茉央 2024・26日本王者
エリート女子 枡田日菜果 2025日本王者
エリート女子 関桃子 初代日本王者、継続して上位
エイジ女子 木村綾愛 2025・26女子総合1位
エイジ男子 大谷勇翔 2026男子総合1位
エイジ男子 富内檀 2025男子総合1位
エイジ男子 笠原大康 45-49歳で2025総合2位
U15男子 稲寛太 2025・26日本王者
U15女子 小山内梨乃 2025・26日本王者
次世代 西﨑大貴 2026エリート日本選手権2位

もちろん「誰が最も有名か」というランキングではない。

現時点の競技実績から、

日本のアクアスロンを見るなら、このあたりの名前を知っておくと面白い

というリストである。


なぜ「アクアスロン専門スター」がまだ少ないのか

ここまで見て、一つ気づくことがある。

トップ選手の多くが、

本職はトライアスロン、あるいはデュアスロンとの兼任

なのである。

これは不思議ではない。

アクアスロン日本選手権そのものが2023年にスタートしたばかりで、年間を通した国内エリートシリーズが確立しているわけではない。

一方、トライアスロンには国内ランキング、アジアカップ、ワールドカップ、WTCSなど大きな競技体系がある。

したがって現状では、

「トライアスリートがアクアスロンでも競う」

という構造になりやすい。

しかしエイジ日本選手権が2025年に始まり、世界エイジグループ選手権への代表選考にもつながるようになった。2027年世界選手権についても、2026年日本エイジ選手権各年代1~3位が日本代表選考の最優先カテゴリーになっている。

ここから状況は変わるかもしれない。


「エイジのスター」が生まれるとアクアスロンはもっと面白くなる

個人的に今後注目したいのは、エリート以上にエイジグループだ。

例えば、

50-54歳の日本王者。

60-64歳の世界選手権代表。

70代で毎年日本選手権に出る選手。

こうした選手が数年間継続して活躍すると、

「この年代ならこの人」

という選手が生まれてくる。

マラソンの市民ランナーにも、トライアスロンのエイジ競技にもそうした文化がある。

アクアスロンはまだ始まったばかりなので、その歴史をこれから作れる。

2025年に始まったエイジ日本選手権で、木村綾愛が早くも2年連続総合優勝。

男子では富内檀から大谷勇翔へ総合トップが交代した。

45-49歳の笠原大康が全体2位に入った。

80代の選手も完走している。

すでに物語は始まっている。


アクアスロンは「選手を知る」と急に面白くなる

大会結果の数字だけを見ていると、

31分。

34分。

38分。

というタイムしか見えない。

しかし、

「望月満帆は3連覇できるのか」

「島﨑茉央は3度目のタイトルを取るのか」

「木村綾愛のエイジ女子連勝は続くのか」

「大谷勇翔の31分台に誰が追いつくのか」

「西﨑大貴ら若手がエリートの勢力図を変えるのか」

と選手を知って見ると、日本選手権はかなり面白くなる。

日本のアクアスロンは、まだ歴史の浅い競技である。

だからこそ、

これから「アクアスロンと言えばこの選手」というスターが生まれてくる余地が大きい。

エリートだけでなく、エイジグループにも。

日本一を狙う人にとっては、彼らは単なる有名選手ではない。

自分が目指すべきタイムを示してくれるベンチマークでもある。


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エイジグループ・アクアスロン世界選手権で優勝するために必要なレベルとロードマップ

アクアスロンを本格的に続けるなら、一つの究極の目標がある。

World Triathlon Aquathlon ChampionshipsのAge Group世界チャンピオン。

5歳刻みの各年代で世界一を決める大会だ。

日本代表としてスタートラインに立ち、自分の年代で1位になる。

では実際、どのくらい速ければ世界一になれるのだろうか。

そして、日本でアクアスロンを始めた選手がそこまで到達するには、何をどの順番で強化すればいいのだろうか。

直近の世界選手権の実際のリザルトから考えてみたい。


まず知っておきたい。世界選手権は日本のアクアスロンと形式が違う

日本の市民アクアスロンでは、

Swim → Run

が一般的である。

日本エイジグループアクアスロン選手権も、

Swim 1km → Run 5km

で行われている。 (jtu.or.jp)

一方、World Triathlonが定めるアクアスロン世界選手権の標準距離は、

Run 2.5km
↓
Swim 1km
↓
Run 2.5km

である。

水温が22℃を下回る場合には、ウェットスーツを途中で着る必要が生じるのを避けるため、

Swim 1km → Run 5km

に変更される。 (triathlon.org)

2026年11月20日にアブダビで開催される世界選手権のAge Groupも、現時点では

Run 2.5km+Swim 1km+Run 2.5km

で予定されている。 (triathlon.org)

ここが最初の重要なポイントだ。

世界一を目指すなら、

「泳いでから5km速く走れる」だけでは足りない。

高速で2.5km走り、その疲労を抱えたまま1kmを泳ぎ、さらにもう一度高速で2.5kmを走る能力が必要になる。


世界チャンピオンは実際どれくらい速いのか

2024年世界選手権はオーストラリア・Townsvilleで開催され、世界選手権標準の

2.5km Run+1km Swim+2.5km Run

で行われた。

男子40~59歳の優勝タイムを見るとこうなる。

年代 世界チャンピオン タイム
40-44 Benjamin Wright 32:57
45-49 Pieter Dehart 34:17
50-54 David Peedom 32:53
55-59 Brent Foster 33:39

2024年大会では40-44歳に27人、50-54歳には40人が出場している。 (multisportaustralia.com.au) (sportsplits.com)

非常に興味深い。

「50代になれば世界一の水準も大幅に落ちる」ということではない。

むしろ2024年は、

50-54歳世界王者が32:53で、40-44歳世界王者より4秒速かった。

年齢ではなく、「その年代に誰がいるか」で世界タイトルの水準は大きく変わる。

したがって世界一を目指すのであれば、

「前年の優勝タイムを少し上回る」

という考え方では危ない。

狙うべきは、

誰が出てきても33分前後で勝負できる能力

だろう。


40代世界王者の中身を見る

2024年40-44歳世界王者Benjamin Wrightのスプリットはかなり参考になる。

区間 タイム
Run 1 2.5km 8:16
T1 1:10
Swim 1km 13:49
T2 1:13
Run 2 2.5km 8:29
TOTAL 32:57

最初のランは約3分18秒/km。

その状態から1km泳ぎ、

最後の2.5kmも約3分24秒/km。

つまり、

5km換算17分弱のランニング能力を、途中に1kmスイムを挟んでもほぼ維持している。

これが世界タイトルの一つの姿である。 (multisportaustralia.com.au)


55-59歳世界王者は別の勝ち方をしている

さらに興味深いのが55-59歳。

2024年世界王者Brent Fosterは、

区間 タイム
Run 1 2.5km 9:15
T1 1:10
Swim 1km 12:29
T2 1:28
Run 2 2.5km 9:15
TOTAL 33:39

だった。 (multisportaustralia.com.au)

先ほどの40代王者とは全くタイプが違う。

ランは約3分42秒/km。

その代わり、

1kmスイム12分29秒。

しかも2.5kmをかなり速く走った後のOWSである。

これは相当な泳力だ。

つまりAge Group世界選手権では、

スーパーランナー型

だけが勝つわけではない。

スイムで圧倒するタイプ

も世界一になれる。

重要なのは、

スイム+ラン+トランジションの合計が世界トップになること。


世界一に必要なのは「二種目ともかなり強い」こと

とはいえ、

「泳ぎだけ世界レベルならランは普通でいい」

という意味ではない。

55-59歳世界王者でも、合計5kmを18分30秒で走っている。

しかも途中に1kmスイムが入っている。

一方、40-44歳王者も1kmを13分49秒で泳いでいる。

つまりどちらも、

得意種目=世界トップレベル

不得意種目=少なくとも全国トップレベル

という構造になっている。

ここが日本選手権優勝と世界選手権優勝の大きな違いだと思う。


世界一を狙うための目標水準

大会コースや海況によってタイムは変わるので絶対基準ではない。

ただし2024年の世界王者を見る限り、男子40~50代で本気で世界タイトルを狙うなら、トレーニング上は次の水準を意識したい。

能力 世界タイトルを考え始める目安
5km単独 17分前後~18分前後
2.5km 8分15秒~9分前半
プール1000m 13分前後、できればそれ以上
OWS 1km 13~14分台を競技中にも再現
R2.5-S1-R2.5 33~34分前後
トランジション 2回合計2分前後を目標

ただし、すべてを同時に最高水準にする必要はない。

例えば、

ラン17分型+スイム14分型

でもよい。

あるいは、

ラン18分30秒型+スイム12分30秒型

でもよい。

重要なのは総合点である。


「単独5km17分」と「世界選手権で17分」は違う

ここは非常に重要だ。

世界選手権では5kmを連続して走らない。

2.5km走る。

泳ぐ。

また2.5km走る。

つまり要求される能力は、

単純な5km走力ではない。

最初のランでは速く走り過ぎると、その後のスイムが壊れる。

逆に抑え過ぎると、世界トップから30~60秒離される。

そして泳いだ直後のRun 2では、心拍数が高い状態で再び3分台/kmに入らなければならない。

これには専用のトレーニングが必要になる。


Run → Swimは想像以上に難しい

日本ではSwim→Runの大会が圧倒的に多いため、見落とされやすい。

しかし、

Run→Swim

はかなり特殊だ。

ランで心拍数を上げた状態から水に入る。

呼吸リズムが変わる。

脚から上半身へ仕事量を切り替える。

しかもスタートから2.5kmを抑えて走っていては世界選手権では勝負にならない。

したがって世界タイトルを狙うなら、

Run→Swim

と、

Swim→Run

の両方を練習する必要がある。


世界一へのロードマップは「日本一→世界一」の2段階で考える

世界選手権は普通の海外市民大会ではない。

各国のNational Federationを通じて代表として出場する。

日本の場合、2027年世界エイジグループ・マルチスポーツ選手権のアクアスロン日本代表基準は、

第1優先が

2026日本エイジグループアクアスロン選手権 各年代1~3位。

その次が2025・2026年のエイジNCS対象大会ポイント獲得者。

さらに普及委員会推薦というルートもあり、過去のエイジNCS、国外大会、認定記録会などが考慮される。 (jtu.or.jp)

したがって、

STEP 1 日本代表になる

STEP 2 世界タイトルを狙う

を分けて考えた方がいい。


STEP 1 国内トップ3に入る

まず目指すのは、日本エイジグループ選手権の表彰台。

国内大会はSwim1km+Run5kmなので、

OWS能力
5km走力
トランジション

を高いレベルにする。

日本選手権の表彰台に入れるようになれば、世界選手権への入口には立てる。

しかし、

日本代表になることと世界チャンピオンになることの間には、まだかなり大きな距離がある。


STEP 2 日本一になっても「まだ完成」ではない

日本エイジグループ選手権と世界選手権では競技形式が違う。

そのため日本一になった後も、

Run→Swim→Run

への変換が必要になる。

具体的には、

2.5km Run
↓
1000m Swim
↓
2.5km Run

を実戦強度で行う。

最初は月1回。

世界選手権3~4カ月前から2週間に1回。

最終的には7~10日に1回程度、本番に近いセッションを行う。

毎回全力で行う必要はない。

目的は、

競技順序への神経・循環・呼吸の適応

である。


STEP 3 世界一との差を「秒」で考える

世界選手権レベルになると、

「泳げるようになった」

「走れるようになった」

では粗すぎる。

例えば2024年40-44歳。

1位 32:57
2位 33:01
3位 33:10

だった。 (multisportaustralia.com.au)

1位と2位は4秒差。

トランジションでシューズを履くのにもたつけば終わる。

ブイを少し大回りしても終わる。

最初のランで位置取りを誤っても終わる。

世界タイトルを狙う段階では、

1分を縮めるトレーニングから、5秒を削る競技へ

変わっていく。


世界一への3年間ロードマップ

ゼロからいきなり世界選手権優勝を狙うより、3段階に分けた方が現実的だ。

1年目:国内トップレベルへ

目標は、

日本エイジグループ選手権表彰台。

この段階では特殊な世界選手権対策より、

スイムの絶対速度
5kmの絶対速度
OWS技術

を高める。

弱い種目を消すことが最優先。


2年目:日本代表+世界選手権経験

日本代表資格を獲得し、一度世界選手権に出る。

最初から優勝だけを考える必要はない。

実際に出てみると、

スタートの速さ
外国人選手の体格
スイムの接触
トランジション
コースレイアウト
遠征時のコンディショニング

など、国内では経験できないものが分かる。

まず、

世界トップ10。

次に、

世界表彰台。

というステップを置く。


3年目:世界タイトルに特化する

ここから目的が変わる。

「速くなる」

ではない。

世界選手権当日に最速になる。

開催地の気温。

水温。

ウェットスーツの有無。

コース。

スタート時間。

時差。

これらまで逆算する。

世界選手権を年間唯一のA+レースとする。

国内日本選手権でピークを使い切らず、代表権を確保した上で再びトレーニングブロックを作る。


12カ月のトレーニングイメージ

世界選手権が秋に開催される年なら、年間を二つのピークに分ける。

1~3月

スイムとランの絶対能力向上。

ブリックは少なくてよい。

5km、1000mという二つの基本能力を徹底して高める。

4~6月

OWS開始。

国内アクアスロンに出場。

Swim→Runを完成させる。

7月

日本エイジグループ選手権。

日本代表資格を確保する。

8月

一度疲労を抜く。

その後、再び3~4週間の強化ブロック。

ここからRun→Swimを増やす。

9~10月

世界選手権形式に特化。

2.5km Run+1km Swim+2.5km Run。

トランジションまで含めて練習する。

世界選手権2週間前

量を減らす。

しかしスピードは落とさない。

レースペースより速い短い刺激を残す。

世界選手権では体力を作るのではなく、

作った能力を100%出す。


世界タイトルに必要な練習の中心

世界一を狙う段階でも、練習の大部分を複雑にする必要はない。

中心となるのは、

ランでは、

1kmインターバル
400m反復
閾値走
イージーラン

スイムでは、

50m
100m
200m
400mの反復

そして週あるいは隔週の、

Run→Swim→Run。

結局は、

速く走る能力

と、

速く泳ぐ能力

を高くすることが基本である。


マスターズでは「壊れない能力」も競技力になる

Age Group世界選手権を狙う場合、もう一つ重要なのが継続性だ。

20代なら強度を上げることで伸びる部分も大きい。

しかし40代、50代、60代になると、

故障して3週間走れないことの損失が非常に大きい。

したがって、

筋力トレーニング
睡眠
栄養
可動域
腱・筋のコンディショニング

も、単なる健康管理ではない。

世界選手権に向けたパフォーマンス戦略の一部

になる。

1回の完璧な練習より、

10カ月間ほぼ予定通りトレーニングできること

の方が強い。


実は世界選手権への「出場」は思ったほど遠くない

世界チャンピオンになるのは非常に難しい。

しかし世界選手権に出場することと、世界選手権で優勝することは分けて考えた方がいい。

2027年の日本代表基準では、日本選手権各年代1~3位が最優先だが、エイジNCSポイントや委員会推薦というルートも用意されている。 (jtu.or.jp)

つまり、

まず世界選手権に出てみる。

という目標は、Age Groupアスリートにとって十分現実的である。

そして一度世界のレベルを見る。

そこから世界トップ10を狙う。

表彰台を狙う。

最後に優勝を狙う。

その方が目標としては整理しやすい。


2027年はカナダ・エドモントン

2026年世界選手権は11月20日、UAE・アブダビ。

そして2027年のWorld Triathlon Multisport Championshipsは、

2027年7月16~25日
カナダ・エドモントン

で開催予定となっている。 (jtu.or.jp)

世界タイトルを本気で考えるなら、

「いつか世界選手権」

ではなく、

何年の世界選手権を狙うか

を決めるところから始めた方がいい。


世界一になる人は、何が違うのか

2024年の結果を見ると非常に象徴的だ。

40-44歳世界王者は、

Run 8:16
Swim 13:49
Run 8:29。

55-59歳世界王者は、

Run 9:15
Swim 12:29
Run 9:15。

全く違うタイプの選手が世界一になっている。

つまり世界チャンピオンになる方法は一つではない。

しかし共通していることもある。

弱点が致命的ではない。

これが非常に重要だ。

世界選手権では、

「ランで3分取り返す」

「泳ぎで5分取り返す」

というレースはほぼ成立しない。

世界トップは、不得意種目でも速い。

その上で自分の得意種目を使って勝つ。


世界一を目指すロードマップは意外とシンプル

最初に1000mを測る。

次に5kmを測る。

日本選手権で表彰台に入る。

日本代表になる。

世界選手権に出る。

世界トップとの差を測る。

Run→Swim→Runに適応する。

世界トップ10に入る。

表彰台に入る。

そして、

あと数十秒を削る。

世界一という言葉は途方もなく大きく見える。

しかしアクアスロンは種目が二つしかない。

バイクもない。

技術的な要素も比較的限定されている。

だからこそ、

世界一までの距離を「スイム何秒、ラン何秒、トランジション何秒」と分解できる。

Age Groupの世界タイトルは簡単ではない。

2024年男子40~59歳の世界王者は、33分前後でRun→Swim→Runを完遂している。

これは明らかに高いレベルである。

しかし、数字は見えている。

世界一になるために必要なのは、

漠然と「ものすごく強くなる」ことではない。

その数字を一つずつ埋めていくこと。

日本一の先に、

世界一はある。


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日本エイジグループアクアスロン選手権で優勝するために必要なレベルとロードマップ

日本のアクアスロンで「年代別日本一」を決める大会が、日本エイジグループアクアスロン選手権だ。

2025年に第1回大会、2026年に第2回大会が東京・海の森水上競技場で開催された。

距離は、

スイム1km+ラン5km。

2026年大会は2027年ワールドトライアスロン世界・アジアエイジグループ・アクアスロン選手権の出場資格対象大会にも指定されている。実際、2027年世界・アジア選手権の日本代表選考では、2026年日本選手権の「各年代1~3位」が最優先カテゴリーとされている。

では、この大会で年代別優勝を狙うには、どのくらいのスイム力、ラン力が必要なのだろうか。

2025年と2026年の実際のリザルトから逆算してみたい。


まず知っておきたい。「完走できるレベル」と「優勝できるレベル」は全く違う

2026年大会の参加条件は、トライアスロン都道府県競技団体・学連登録者で、18歳以上、そしてスイム1,000mを30分以内で完泳できることだった。

しかしこれは、あくまで出場するための基準。

優勝争いになると話は全く違う。

2026年の男子総合優勝は31分52秒。

内訳は、

種目 タイム
スイム1km 14:19
トランジション 0:32
ラン5km 17:01
合計 31:52

女子総合優勝は36分09秒で、

種目 タイム
スイム1km 16:16
トランジション 0:49
ラン5km 19:04
合計 36:09

だった。

これは普通の市民アスリートの水準ではない。

特に男子総合優勝の「1kmを14分19秒で泳いだ後に5km17分01秒」は、スイムとランのどちらか一方が得意というレベルではなく、両方とも非常に高いレベルにある。

アクアスロンで日本一を狙う最大のポイントはここにある。


年代別優勝タイムを見る

ただしエイジグループ選手権は「総合順位」ではなく、5歳刻みの年代別順位でタイトルが決まる。

したがって年代が上がれば、当然必要なタイムも変わってくる。

特に参考になるのが、参加者が比較的多い男子40~59歳だ。

男子40~59歳の実際の優勝タイム

年代 2025年 2026年
40-44 35:24 35:49
45-49 34:45 36:25
50-54 38:23 38:30
55-59 39:14 38:14

2025年、2026年の公式記録による。

かなり興味深い。

40~49歳では35~36分前後。

50~59歳では38~39分前後がタイトルラインになっている。

特に50-54歳は、

2025年 38:23
2026年 38:30

と、わずか7秒しか違わない。

もちろん大会はまだ2回しか開催されておらず、参加メンバーによって優勝ラインは大きく変わる。

それでも現時点では、

男子50代で日本一を狙うなら「40分切り」ではなく、「38分台前半~中盤を出せる能力」

を一つの目標にするのが現実的だろう。


重要なのは総合タイムより「中身」

例えば2026年男子50-54歳優勝者は、

スイム 18:13
トランジション 1:11
ラン 19:06
総合 38:30

だった。

2025年の同カテゴリー優勝者は、

スイム 17:19
トランジション 1:02
ラン 20:02
総合 38:23。

つまり勝ち方は同じではない。

2025年は比較的スイム型。

2026年はラン型。

しかし共通しているのは、

「大きな弱点がない」

ことだ。

アクアスロンで勝つために最も危険なのは、

「ランはすごく速いがスイムで5分遅れる」

あるいは、

「スイムは速いが5kmで25分かかる」

という状態である。

優勝を目指すなら、得意種目をさらに伸ばすこと以上に、弱い種目を優勝争いから脱落しない水準まで引き上げることが重要になる。


男子マスターズなら、どこを目標にするか

過去2年の結果から考えると、40~50代男子で年代別優勝を本気で狙う場合、トレーニング上は次の水準を目標にしたい。

これは公式の基準ではなく、過去の優勝記録に多少の余裕を持たせた「練習目標」である。

能力 優勝を視野に入れる目安
OWS 1km 15~18分程度
5km単独 17~19分台
スイム後5km 18~20分台
トランジション 1分以内を目標
総合 35~39分前後

年代によって大きく変わるが、「1kmを20分で泳いで5kmを20分」という40分型よりも、

スイム17分+ラン19分+トランジション1分=37分

のような選手の方が、タイトル争いではかなり強い。

50代以降でも「ラン5kmを20分前後」は十分に重要なラインになる。


女子はまだ「優勝タイム」を固定しにくい

女子については少し事情が違う。

2025年のエイジ選手権女子は17名、2026年は10名と、現時点では男子より参加者がかなり少ない。2026年男子は46名だった。

そのため年代によっては参加者が1人というカテゴリーもあり、「このタイムなら日本一」という基準を作るにはまだデータが少ない。

一方、女子総合トップは驚くほど安定している。

2025年 36:10
2026年 36:09。

2026年はスイム16:16、ラン19:04だった。

競技人口が増えれば年代別の優勝水準も上がっていく可能性がある。

現在の優勝タイムだけを見るのではなく、スイムとランの絶対能力を高めておくことが重要だろう。


優勝するための能力① 1kmを「速く、疲れず」泳ぐ

アクアスロンのスイムは、単純な1,000mタイムトライアルではない。

重要なのは、

速く泳ぎながら、脚を使い過ぎないこと。

この後に5kmのランがあるからだ。

特に2ビートキックを中心に効率良く泳ぎ、上半身主体で速度を維持できる能力は大きな武器になる。

またプールで速く泳げても、OWSではそのまま再現できない。

スタート直後の混戦、ドラフティング、ブイ回り、直進性、波、他選手との接触などがある。

日本選手権を狙う段階になれば、

プール1000mのタイムだけではなく、「集団の中で1kmをロスなく泳ぐ能力」

を鍛える必要がある。


優勝するための能力② 5kmの絶対的な走力

アクアスロン選手が最も伸ばしやすいのは、おそらくランだ。

2026年男子総合優勝はスイム後の5kmを17:01。

男子50-54歳優勝は19:06。

45-49歳優勝は18:53だった。

つまりマスターズ年代でも、日本一を狙うなら5km20分を切る能力は非常に大きな武器になる。

ただし「単独5km20分」では十分ではない。

スイム直後は心拍数が高く、呼吸も乱れている。

脚への血流配分も急激に変わる。

したがって、

単独5kmのPBより、スイム直後にどこまでPBに近い速度で走れるか

が重要になる。


優勝するための能力③ トランジション

距離の短いアクアスロンでは、トランジションも1種目と考えた方がいい。

2026年男子総合優勝は32秒。

2025年45-49歳優勝は37秒だった。

一方で1分30秒かかれば、それだけで50秒程度失う。

5kmランで50秒を取り戻すには、

1kmあたり10秒速く走らなければならない。

これは大きい。

裸足でトランジションまで走る、ウェットスーツを脱ぐ、シューズを履く、走り出す。

この動作は練習すれば速くなる。

フィットネスを高めるより遥かに簡単に30秒を縮められる可能性がある。


12カ月で日本一を狙うロードマップ

ここからは、7月の日本選手権をAレースとした場合の年間設計を考える。

8~10月:現状を測定する

まず必要なのは「何となく鍛える」ことではない。

1000mスイム
400mスイム
5kmラン
3000mラン

のタイムを測定する。

そして目標との差を数字にする。

例えばスイム1000mが20分、5kmが19分なら、課題は明らかにスイム。

逆に1000mが15分台で5kmが23分なら、ランに大きく投資すべきだ。

アクアスロンは2種目しかない。

だからこそ、弱点は非常に分かりやすい。


11~1月:弱い種目を徹底的に引き上げる

冬はアクアスロン練習をする必要はない。

スイムとランを、それぞれ独立した競技として強くする。

スイムならフォーム改善とCSS。

ランなら閾値と5km走力。

この時期に重要なのはブリックではなく、絶対能力を上げること。

例えば週3~4回泳ぎ、週4~5回走る。

ランではイージーランを土台に、週1回の閾値走、週1回のインターバルを入れる。

スイムでも週1~2回は100~400mの反復でCSS付近を鍛える。


2~4月:5kmと1000mに特化する

ここから競技時間に近づける。

ランニングなら、

5×1km
8~12×400m
20~30分テンポ走

など。

スイムなら、

10×100m
5×200m
20×50m

などを使い、1kmを高い強度で維持する能力を作っていく。

アクアスロンは長時間の耐久競技というより、

30~50分間、高い強度を維持する競技

である。

フルマラソン型の大量の低強度トレーニングだけでは、日本一を狙うには刺激が足りない。


5~6月:アクアスロン選手になる

ここから初めて、Swim→Runを本格的に練習する。

例えば、

800~1000mスイム
→素早くトランジション
→3~5kmラン

という実戦練習。

毎回行う必要はない。

7~10日に1回程度でも十分だ。

重要なのは、

「泳いだ直後からランのレースペースに入る感覚」

を身体に覚えさせること。

同時にOWS練習を増やし、ドラフティングやブイターンも練習する。


レースを練習に使う

日本選手権まで一度もアクアスロンに出ないというのは、あまり得策ではない。

関東なら5~7月に複数のアクアスロン大会がある。

そこで、

5月 シーズン初戦
6月 実戦確認
7月 日本選手権

という形を作る。

事前レースで確認したいのは順位ではない。

スイムスタートで遅れないか。

OWSで真っすぐ泳げているか。

トランジションが何秒か。

最初の1kmを速く入り過ぎていないか。

こうした実戦上の問題を日本選手権前に潰しておく。


最後の6週間

日本選手権の6週間前になったら、総練習量をむやみに増やす必要はない。

重要なのはレース強度。

スイム1000mのレースペース。

5kmのレースペース。

そしてSwim→Run。

日本選手権で初めてその強度を経験する状態は避けたい。

レース2週間前からは量を少しずつ減らしながら、短い高強度を残す。

「強くなる期間」から、

「今ある能力を100%出す期間」

へ切り替える。


もう一つの敵は暑さ

日本選手権は7月の東京である。

2025年は気温28.9℃前後、水温27.1℃。

2026年は気温29.2℃、水温28.3℃だった。

そしてエイジ選手権は午前10時台スタート。

5kmだけだから暑さは関係ない、とは言えない。

30分台後半のレースを高強度で行うため、暑熱環境ではランパフォーマンスへの影響が大きい。

6月以降は暑い時間帯で短時間走るなど、段階的に暑熱順化を行っておく価値がある。


「スイム型」「ラン型」だけでは勝ちにくい

過去2年間の結果を見ると、面白いことが分かる。

勝者のタイプは必ずしも同じではない。

スイムが非常に速い選手もいる。

ランが非常に速い選手もいる。

しかしタイトルを獲得している選手には共通点がある。

不得意種目でも大きく負けない。

これがアクアスロンの本質なのだと思う。

例えばスイムで3分負ければ、5kmで取り戻すには1kmあたり36秒速く走らなければならない。

全国レベルではほぼ不可能に近い。

だから、

「得意種目で勝つ」

より先に、

「弱い種目でレースを終わらせない」

ことが重要になる。


日本一を狙うための最終目標

エイジグループ日本選手権はまだ始まったばかりだ。

2025年が第1回。

2026年が第2回。

競技人口が増えれば、今後優勝水準が上がる可能性は十分にある。

したがって「昨年の優勝タイムを1秒上回ればいい」という考え方では危ない。

狙うべきなのは、

前年優勝タイムではなく、その年代で誰が来ても勝負できる能力。

そのためには、

スイム1kmを速く泳ぐ。

5kmを速く走る。

スイムの直後にも速く走る。

トランジションで時間を失わない。

OWSに強くなる。

そして7月にピークを合わせる。

やるべきことは意外なほどシンプルだ。

アクアスロンにはバイクがない。

種目は二つしかない。

だからこそ誤魔化しが効かない。

「泳げて、走れる人」が勝つ。

日本エイジグループ選手権で優勝するという目標は簡単ではない。

しかし必要な能力を数字に分解すれば、目標はかなり具体的になる。

まずは自分の1000mスイムと5kmランを測る。

そして日本一まであと何分なのかを知る。

そこからロードマップは始まる。


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世界のアクアスロン大会2026|日本人が海外遠征するなら一度は出てみたいレース

日本のアクアスロン大会を調べているうちに、次に気になった。

世界では、どんなアクアスロン大会があるのだろうか。

もちろん世界中の小さな大会までリストアップしてもあまり意味はない。

日本から海外へ行くのであれば、

  • 世界中から選手が集まる

  • 競技レベルが高い

  • 大会そのものが大きい

  • 開催地として魅力がある

  • 外国人でもエントリーしやすい

といった理由が欲しい。

そこで今回は、2026年の大会を中心に、**「日本人アクアスロン選手が海外遠征先として考えたい大会」**という視点で世界を見てみた。

結論から言うと、世界選手権以外にも面白い大会はかなりある。


まず知っておきたい。世界の「標準アクアスロン」は日本と少し違う

日本の市民アクアスロンでは、

Swim → Run

という形式が圧倒的に多い。

例えば日本エイジグループ選手権も、

Swim 1km → Run 5km

である。2026年大会は東京・海の森で開催された。

しかしWorld Triathlonの正式な世界選手権フォーマットは、

Run 2.5km
→ Swim 1km
→ Run 2.5km

である。

水温が22℃未満の場合には、

Swim 1km → Run 5km

となり、ウェットスーツ着用となる。

これは結構大きな違いだ。

世界選手権を本気で狙うのであれば、「泳いだ後に5km走る」だけでなく、

かなり速く2.5km走った直後に1km泳ぎ、もう一度2.5km走る

能力が必要になる。


日本人が注目したい世界のアクアスロン大会

全世界を網羅するのではなく、

海外選手が参加しやすいこと
競技としての価値
大会規模
開催地の魅力

を考えてピックアップした。

時期 大会 国・地域 主な距離 特徴
2月8日 MetaSprint Series Aquathlon シンガポール 750m+5km/1.35km+10km 大規模市民大会
6月20日 New Clark City Multisport Festival フィリピン 500m+3km アジアの複合競技フェス
7月18日 Europe Triathlon Aquathlon Championships スペイン・Banyoles WT標準 欧州選手権※出場資格注意
9月5日 Alonissos Challenge Aquathlon ギリシャ 1.5km+5km 島・海・観光型
9月12日 Mamsha Al Saadiyat Aquathlon UAE・アブダビ 複数距離 世界選手権開催都市
9月26日 Singapore National Aquathlon Championships シンガポール 複数カテゴリー Openカテゴリーあり
10月11日 Hong Kong Aquathlon Championships 香港 複数カテゴリー 協会主催・都市型
10月24日 Australian Aquathlon Championships / Pottsville 豪州 750m+5km 豪州選手権
11月20日 World Triathlon Aquathlon Championships UAE・アブダビ 2.5R+1S+2.5R 世界選手権
12月6日 Aquathlon Kuala Langat マレーシア 750m+5km/1.5km+10km 年末の本格レース

それぞれ少し詳しく見てみたい。


① MetaSprint Series Aquathlon|シンガポール

海外アクアスロンへの最初の遠征としてかなり面白い大会だと思う。

2026年大会は2月8日にSentosaで開催された。

競技距離は、

Sprint:Swim 750m+Run 5km

XL:Swim 1,350m+Run 10km

という二本立て。

2026年には1,300人以上がアクアスロンに参加しており、市民アクアスロンとしてはかなり大規模だ。エリートウェーブも設定されている。

これは海外遠征として非常に重要なポイントだと思う。

参加者が数十人しかいないローカル大会に遠征するより、

千人規模で、多くの年代の選手が参加する大会

の方が、海外で自分の競技力を試す意味がある。

さらに750m+5kmなので、日本の八景島などとも比較しやすい。

シンガポールは時差が1時間しかなく、大会会場はSentosa。

「初めての海外アクアスロン」としてかなり取り組みやすい大会ではないだろうか。


② New Clark City Multisport Festival|フィリピン

2026年6月20〜21日にフィリピンのNew Clark Cityで開催されたマルチスポーツイベント。

Adult Aquathlonは、

Swim 500m+Run 3km。

アクアスロンだけでなく、翌日にデュアスロンやトライアスロンも行われるスポーツフェスティバルになっている。

距離としてはかなり短い。

そのため、

スイムから高速ランへ移る能力

を試すレースになる。

フィリピンではTriathlon Philippines主催の年代別アクアスロン大会も開催されており、アクアスロン競技が比較的しっかり組織化されている。2026年5月のNational Age Group Aquathlonでは、年代別カテゴリーが細かく設定されている。


③ Europe Triathlon Aquathlon Championships|スペイン・Banyoles

競技レベルという意味では非常に魅力的なのが欧州選手権。

2026年は7月18日にスペイン・Banyolesで開催された。

エリート、U23、ジュニア、Age Groupが同日に競技する、本格的なマルチスポーツ選手権である。

ただし、ここには重要な注意点がある。

European ChampionshipのAge Group部門は欧州各国のNational Federationを通じて出場する選手権なので、日本人が単純にエントリーして欧州選手権に出場できるわけではない。

したがって、

「海外遠征先候補」

というより、

世界のアクアスロン競技を知るために注目しておきたい大会

という位置付けになる。

逆に言えば、海外大会を探す際には、

「エントリー画面がある=外国人なら誰でも選手権に出られる」

とは限らないので注意したい。


④ Alonissos Challenge Aquathlon|ギリシャ

「遠征そのものを楽しむ」という意味では、かなり魅力的な大会。

2026年9月5日、ギリシャ・スポラデス諸島のAlonissosで開催された。

距離は、

Swim 1.5km+Run 5km。

Chrysi Milia Beachの青い海を1.5km泳ぎ、その後アップダウンを含む5kmを走る。18歳以上が参加でき、2026年のアクアスロン参加料は無料と案内されている。

主催者自身が、ギリシャ国内だけでなく、

「世界中のランナー、スイマーを島に呼びたい」

というコンセプトを打ち出している。

これはいわゆる「速いタイムを出すためだけの大会」ではない。

透明な地中海を泳ぎ、島を走る。

大会前後を旅行にする。

こういうアクアスロン遠征もありだと思う。


⑤ Mamsha Al Saadiyat Aquathlon|アブダビ

2026年9月12日にアブダビのSaadiyat Islandで開催されたコミュニティ型アクアスロン。

400m、800m、1,600m、3,200mのOWS種目と複数のアクアスロンが用意され、4歳から60歳以上までカテゴリーが設定されている。参加者目標は最大約200人。

単体の大会規模はそれほど大きくない。

ただし、この大会が面白いのは場所だ。

2026年のアクアスロン世界選手権もアブダビで行われる。

中東ではスポーツイベントへの投資が進んでおり、アブダビにはHudayriyat Islandのような大規模なスポーツ施設も整備されている。世界マルチスポーツ選手権では3,000人以上の選手が見込まれ、来場者の80%以上が海外からと予測されている。


⑥ Singapore National Aquathlon Championships

シンガポールは、アクアスロンをやるならかなり興味深い国だ。

2月のMetaSprintに加え、9月26日には、

YAL × SMU Swim Run Sprint

として2026 Singapore National Aquathlon Championshipsが開催された。

19歳以上には、大学所属者とは別にOpenカテゴリーが設定されている。

Triathlon Singaporeの年間カレンダーを見ると、アクアスロン系イベントが複数開催されており、日本と同様に「競技として継続して取り組める環境」がある。


⑦ Hong Kong Aquathlon Championships

香港もアクアスロン文化がかなりしっかりしている。

2026年だけでも、

4月 Aquathlon Series Race 1
5月 Race 2
7月 Race 3
8月 Race 4
10月 Hong Kong Aquathlon Championships

というシリーズが組まれている。

10月11日の香港選手権ではChallenge、Sprint、Discoveryなど複数カテゴリーが設定され、TriHK会員だけでなくNon-TriHK Memberとしてのエントリー制度も用意されている。

海外遠征というとヨーロッパやアメリカを考えがちだが、

香港やシンガポールで高頻度にレースを経験する

という選択肢もかなり合理的だ。


⑧ Australian Aquathlon Championships|Pottsville Beach

2026年10月24日、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州Pottsville Beachで、Australian Age Group Aquathlon Championshipsが開催される。

距離は、

Swim 750m+Run 5km。

オーストラリア選手権として指定されている。

この大会のいいところは、本格的な選手権でありながら大会そのものは大きな市民マルチスポーツフェスティバルになっていること。

トライアスロン、デュアスロン、アクアバイク、アクアスロンなどが同時開催される。

AusTriathlon会員でなくてもOne Day Membershipを利用して大会参加できる仕組みもある。

もちろん「Australian Champion」というタイトルについてはオーストラリア側の資格要件が別にあるため、外国人参加者は大会規定を確認する必要がある。

しかし、

750m+5kmという分かりやすい距離で、豪州の競技者と直接レースできる

という点では非常に面白い。


⑨ World Triathlon Aquathlon Championships|アブダビ

そして究極の海外レースは当然これになる。

2026 World Triathlon Aquathlon Championships Abu Dhabi

開催日は11月20日。

会場はHudayriyat Island。

アクアスロンだけでなく、デュアスロン、クロストライアスロン、クロスデュアスロン、ロングディスタンストライアスロン、アクアバイクなどが集まる9日間のMultisport World Championshipsの一競技として開催される。

Age Groupも5歳刻みで80歳代まで設定されている。

競技は、

Run 2.5km
→ Swim 1km
→ Run 2.5km

のWorld Triathlonスタンダード。

日本から参加する場合、普通の海外市民大会のように直接申し込むのではなく、Triathlon Japanを通じた日本代表Age Groupとしての手続きが必要になる。

2026年の日本代表基準では、優先順として、

2025日本エイジグループアクアスロン選手権各年代1〜3位のほか、

2024・2025年のエイジNCSポイント獲得者、

さらに2024・2025年の国内外アクアスロン完走実績のある選手

まで対象に含まれていた。

これは意外に重要だ。

「世界選手権」という名前から、

国内で優勝しないと出られない

と思うかもしれないが、Age Groupでは必ずしもそうではない。

もちろん年度によって基準は変わるため毎年確認が必要だが、マスターズ選手でも世界選手権は十分に現実的な目標になりうる。


⑩ Aquathlon Kuala Langat|マレーシア

シーズン最後に面白い大会がマレーシア。

2026年12月6日にSelangor州Tanjong Sepatで開催される。

競技は二つ。

Sprint:Swim 750m+Run 5km

Olympic:Swim 1.5km+Run 10km

となっている。

Age Groupも細かく設定され、オンライン申込ではNationality、Country of Residence、Passport/ID欄も用意されているため、外国人参加を想定した仕組みになっている。

1.5km+10kmなので、日本のJIOWSAロングシリーズとほぼ同じ。

「国内1.5km+10kmの実力が海外でどこまで通用するか」を試すには面白い大会だ。


世界を見たら、アクアスロンは3種類に分けた方がいい

海外まで見ると、単純に「アクアスロン」という一言で括るのがかなり難しくなる。

① Swim → Run型

日本の多くの大会、シンガポール、豪州、マレーシアなど。

代表距離は、

750m+5km
1km+5km
1.5km+10km

など。

日本人には一番馴染みやすい。

② Run → Swim → Run型

World Triathlonの世界選手権方式。

2.5km+1km+2.5km。

世界選手権を狙うなら、この形式への適応が必要。

最初の2.5kmで乳酸がかなり上がった状態から泳ぐことになるため、単純なSwim→Runとはかなり違う。

③ Destination Aquathlon

ギリシャのAlonissosなど。

純粋なタイムやランキング以上に、

「そこを泳ぐ・そこを走る」こと自体に価値がある大会。

アクアスロンは自転車を運ばなくていいので、実はこうした海外遠征との相性が非常に良い。


アクアスロンは海外遠征に非常に向いている

これはトライアスロンと比較すると大きな利点だと思う。

トライアスロン海外遠征なら、

バイクケース
バイク輸送
組み立て
空港からホテルへの移動
メカトラブル対策

などが必要になる。

アクアスロンなら基本的には、

ランニングシューズ
ゴーグル
ウェットスーツ(必要な場合)
レースウェア

だけ。

普通のスーツケースで十分である。

つまり、

「海外マラソン+少し荷物が増える程度」

で世界大会に参加できる。

海外レースを楽しむ競技としては、かなり優秀なのではないかと思う。


日本人選手の海外遠征モデル

本気でアクアスロンに取り組むなら、毎月海外へ行く必要はない。

国内大会を基本として、

年間1〜2回だけ海外

くらいが一番きれいだと思う。

例えば、

2月 Singapore MetaSprint
↓
5〜6月 日本国内
↓
7月 日本エイジ選手権・海の森
↓
9月 国内大会
↓
11月 World Championships

という年間。

あるいは世界選手権に出ない年なら、

2月 Singapore
+
9月 Greece
+
国内6〜8戦

という組み方も面白い。


海外大会は「速い大会」だけで選ばなくてもいい

海外まで交通費と時間を使って行く。

そう考えると、

「一番レベルが高い大会」

だけを探す必要はないと思う。

海外遠征には、

Championship

という価値と、

Destination

という価値の二つがある。

世界選手権のアブダビはChampionship。

Singapore MetaSprintやAustralian Championshipsは、競技そのものを楽しむ海外遠征。

ギリシャ・AlonissosはDestination。

それぞれ意味が違う。


一度は出たい大会を3つ選ぶなら

アクアスロンを一つの競技として本格的に取り組むなら、個人的には次の3タイプを経験してみたい。

まず、

Singapore MetaSprint Aquathlon。

1,300人規模の大会で、750m+5kmという分かりやすい距離。

次に、

Alonissos Challenge。

地中海の島を泳いで走るという、海外アクアスロンならではの経験。

そして最終的には、

World Triathlon Aquathlon Championships。

国名入りのウェアでAge Group世界選手権を走る。

アクアスロンを続けるなら、ここを一つの到達点にしてもいい。


「世界選手権に出る」を目標にすると競技が変わる

日本国内だけを走っていると、

アクアスロン=

「速く泳いで、そのまま5km走る競技」

という理解になりやすい。

しかし世界選手権を見ると、

Run → Swim → Run

である。

世界に目を向けることで、

「アクアスロンという独立した競技をどう強くなるか」

という視点が出てくる。

そしてアクアスロンには、

世界選手権もある。
Age Groupもある。
各国選手権もある。
1,000人を超える市民大会もある。
地中海の島を泳ぐ大会もある。

しかもバイクは必要ない。

日本でトレーニングしながら、年に一度か二度だけスーツケースを持って世界へ行く。

アクアスロンは、実はかなり「世界を転戦しやすい競技」なのかもしれない。


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全国アクアスロン大会カレンダー2026|アクアスロンを主競技にする年間レース計画

トライアスロンからバイクを除き、スイムとランで競うアクアスロン。

「トライアスロンへの入門競技」というイメージもあるが、全国の大会を調べてみると、実はアクアスロンだけでもかなりしっかりした年間レースカレンダーを組める。

2026年は沖縄で3月にシーズンが始まり、5月以降全国各地で大会が開催。7月には日本エイジグループアクアスロン選手権があり、秋には関東、東海、関西、北陸、九州で再び大会が増え、11月末の沖縄まで続く。

つまり、

3月から11月まで約9カ月間のシーズン

として成立する。

今回は2026年に開催された、あるいは開催予定として確認できた全国の主要アクアスロン大会を整理してみた。

※2026年9月21日時点。一般・高校生以上が参加できる大会を中心に掲載。地域の小規模大会やキッズ限定大会などはすべてを網羅しているわけではない。開催内容は変更される場合があるため、出場時には必ず各大会の公式情報を確認してほしい。


全国アクアスロンカレンダー2026

日程 大会 都道府県 主な一般距離・特徴
3月8日 沖縄アクアスロン2026 spring 沖縄 S1km+R5km/S500m+R2.5km
5月3日 JBGFお台場ビーチアクアスロン 東京 S1km+R5km等
5月24日 リバーアクアスロンin長良川 岐阜 S750m+R5km
5月31日 盛岡市市民体育大会アクアスロン 岩手 S600m+R3km
5月31日 大阪せんなんアクアスロン 大阪 S500m+R5km/S1.5km+R10km
6月7日 アクアスロン競技会in光が丘 東京 プール+ラン、ラン比率高め
6月13日 淡路島アクアスロン 兵庫 S500m+R5km/S1.5km+R10km
6月20日 青山アクアスロン 東京 S300m+R2km
6月21日 千葉南房総アクアスロン 千葉 S500m+R5km/S1.5km+R10km
6月28日 スプラッシュ&ダッシュin小野浦 愛知 S750m+R5km
7月4日 チームケンズカップin西武園ゆうえんち 埼玉 S750m+R3kmほか
7月5日 目黒区体育祭アクアスロン 東京 S300m+R3.1km
7月5日 いごっそうアクアスロン 高知 S1.5km+R10km
7月12日 日本エイジグループアクアスロン選手権/海の森 東京 S1km+R5km
8月1日 福岡・博多湾アクアスロン 福岡 S500m+R5km/S1.5km+R10km
8月2日 アクアスロンinラグーナビーチ 愛知 S750m+R5km
8月11日 ながよアクアスロン 長崎 S800m+R5km
8月23日 熊本甲佐アクアスロン 熊本 高校生以上カテゴリーあり※2026年は中止
9月5日 愛知県西浦温泉アクアスロン 愛知 S500m+R5km/S1.5km+R10km
9月12日 武蔵野アクアスロン 東京 S500m+R3.4km等
9月13日 潮芦屋アクアスロン 兵庫 S500m+R5km/S1km+R10km
9月20日 上五島トライアスロン・アクアスロン 長崎 S1.5km+R10km
9月21日 渋谷区民アクアスロン 東京 S300m+R1.5km
9月22日 世田谷区アクアスロン 東京 S300m+R3.1km
9月23日 高知県県民スポーツフェスティバル・アクアスロン 高知 地域大会
9月27日 横浜八景島アクアスロン 神奈川 S750m+R5km
9月27日 チームケンズカップin山梨・小瀬 山梨 S750m+R5km
9月27日 新宿アクアスロン 東京 プール+公園ラン
10月3日 逗子ビーチアクアスロン 神奈川 海+ビーチラン
10月4日 Kirakiraアクアスロンinワイキキビーチ 愛知 海アクアスロン
10月11日 チームケンズカップin本牧市民プール 神奈川 S750m+R2.9km等
10月11日 結の浜アクアスロン 長崎 S1km+R5.2km
10月11日 東山アクアスロン 福井 S1.05km+R15.1km/S350m+R6.4km
10月12日 大田区アクアスロン 東京 短距離スピード型
10月31日 TAKANAWA GATEWAY CITY SWIM & RUN FESTA 東京 S80m+R2.2km
11月1日 静岡・南熱海アクアスロン 静岡 S500m+R5km/S1.5km+R10km
11月3日 国立市アクアスロン 東京 S300m+R3km等
11月29日 沖縄アクアスロン名護大会 沖縄 S500m+R5km/S1.5km+R10km

JIOWSA(日本国際オープンウォータースイミング協会)は2026年、大阪せんなん、淡路島、千葉南房総、福岡・博多湾、愛知・西浦温泉、静岡・南熱海、沖縄・名護の7大会をアクアスロンシリーズとして設定している。基本カテゴリーはショートの500m+5kmとロングの1.5km+10kmで、全国を転戦する一つのシリーズとして考えることもできる。

関東では城南アクアスロンシリーズがあり、青山、目黒、渋谷、世田谷、大田の5大会が設定されている。

一方、東海では長良川、小野浦、ラグーナビーチ、西浦温泉など大会数が多く、関東以外でアクアスロンを継続的に戦うならかなり充実した地域である。長良川は750m+5km、小野浦とラグーナビーチも750m+5kmとなっている。


全国を見ても中心は「1km+5km」

アクアスロンには統一された一つの距離しかないわけではない。

しかし競技としてアクアスロンに注力するなら、まず基準にしたいのが、

スイム1km+ラン5km

だと思う。

最大の理由が日本エイジグループアクアスロン選手権だ。

2026年7月12日に東京・海の森水上競技場で行われた第2回日本エイジグループアクアスロン選手権は、スイム1km+ラン5kmで実施された。

さらにこの大会は2027年ワールドトライアスロン世界・アジアエイジグループアクアスロン選手権の出場資格対象大会に指定されている。

したがって、競技志向のエイジ選手なら、

「1km泳いだ直後に5kmをどれだけ速く走れるか」

を一つの中心的能力として考えるのが分かりやすい。

八景島の750m+5km、山梨・小瀬の750m+5km、小野浦の750m+5km、ラグーナビーチの750m+5kmなども比較的近い競技特性を持つ。八景島はウェットスーツ必須の海スイムで、750m+5kmとなっている。


もう一つ面白いのが「1.5km+10km」

全国まで視野を広げると、関東だけを見ていた時よりも1.5km+10kmの大会がかなり目立つ。

例えば、

大阪せんなん
淡路島
千葉南房総
福岡・博多湾
愛知・西浦温泉
高知・いごっそう
兵庫・潮芦屋
長崎・上五島
静岡・南熱海
沖縄・名護

など。

高知のいごっそうアクアスロンも、一般の中心種目は水泳1.5km+ラン10km。

上五島のアクアスロン部門もスイム1.5km+ラン10kmで行われる。

沖縄・名護もショート500m+5kmに加え、ロング1.5km+10kmが設定されている。

こちらは1km+5kmとは別競技に近い。

要求されるのは瞬発的なスピードより、

OWS持久力+10km走力+暑熱耐性

になってくる。

アクアスロンを専門競技として考えるなら、

1km+5km=ショート系

1.5km+10km=ロング系

という二本立てで考えても面白い。


さらに「変わり種アクアスロン」もある

全国を見ると距離設定はかなり自由だ。

福井の東山アクアスロンはかなり特殊で、Bコースは

スイム1,050m+ラン15.1km。

しかもランは約200mの標高差を含む。

兵庫・潮芦屋には500m+5kmと1km+10kmの二つがある。

一方で東京の城南シリーズはスイム300m前後+1〜3km程度のランが中心。

つまり、「アクアスロン」という名前は同じでも競技特性は大きく異なる。


アクアスロン大会を4種類に分類する

年間計画を立てるなら、単純に大会数だけを見るより、次の4種類に分けると分かりやすい。

① 選手権型:1km+5km前後

中心は海の森。

八景島、山梨・小瀬、結の浜などもこのグループに近い。

必要なのは、

OWS能力
5km走力
トランジション
スイム後すぐに速く走る能力

である。

アクアスロン競技力を測る中心カテゴリー。

② ロング型:1.5km+10km

JIOWSAシリーズや、いごっそう、潮芦屋、上五島など。

こちらは競技時間が長くなり、持久力の要素が大きくなる。

トライアスロンやマラソンの持久力が高い選手には相性がいい可能性がある。

③ スプリント型

城南シリーズ、西武園、武蔵野、国立など。

スイム200〜500m+ラン1〜3km前後。

短いだけに最初からほぼ全力。

スイム、トランジション、ランのすべてで一瞬のロスが順位に直結する。

④ 特殊型

東山のようなアップダウンの大きいロングラン、逗子のビーチランなど。

通常のロードアクアスロンとは違う能力を試せる。


アクアスロンに本気で取り組むなら年間何戦出る?

全国にはかなり大会がある。

しかし全部出る必要はない。

競技力向上を目的とするなら、

Aレース:2戦
Bレース:3〜4戦
Cレース:2〜3戦

くらいが現実的だと思う。

年間7〜9戦程度。

Aレースではテーパリングまでして結果を狙う。

Bレースは数日疲労を抜く程度。

Cレースはトレーニングとして出る。

アクアスロンはフルマラソンほど回復期間を必要としないのでレース数を増やしやすいが、5km以下のランはほぼVO2max付近まで上がるため、毎週のように全力で戦うとトレーニングが途切れてしまう。


全国版・年間モデル①「日本選手権型」

競技力を追求するなら、個人的にはこの形が一番きれいだと思う。

時期 大会例 位置づけ
3月 沖縄spring C:シーズン開幕
5月 お台場 B:OWS実戦
6月 小野浦など B
7月12日 海の森・日本エイジ選手権 A:第1ピーク
8月 レースを減らす 再強化
9月 八景島/山梨 A:第2ピーク
10月 結の浜など B
11月 国立または沖縄名護 C:シーズン終了

特に重要なのは8月。

7月の日本選手権後にレースを連戦するより、

4〜6週間まとまったトレーニング期間を作る

方が秋にもう一段競技力を上げやすい。


全国版・年間モデル②「ロングアクアスロン型」

1.5km+10kmを中心にするならこんな年間も組める。

5月 大阪せんなん
↓
6月 淡路島または千葉南房総
↓
7月 いごっそう
↓
8月 博多湾
↓
9月 西浦温泉または潮芦屋・上五島
↓
11月 南熱海
↓
11月末 沖縄名護

JIOWSAシリーズをそのまま転戦する方法もある。

これはほとんど「アクアスロン全国ツアー」である。


全国版・年間モデル③「関東在住+遠征2戦」

現実的にはこれが一番取り組みやすい人が多いだろう。

関東には大会が非常に多いため、通常レースは関東で済ませる。

例えば、

5月 お台場
6月 青山または南房総
7月 海の森
9月 武蔵野
9月末 八景島
10月 本牧
11月 国立

を基本線にする。

そこへ、

春の沖縄

または

秋の上五島・結の浜・沖縄名護

などを1〜2戦追加する。

これなら遠征費を抑えながら、海況や気候の異なる全国レースも経験できる。


日本のアクアスロンシーズンは実は長い

全国版を作って一番意外だったのはこれだった。

アクアスロンは「真夏の競技」というイメージがあるが、

3月8日 沖縄宜野湾

から始まり、

11月29日 沖縄名護

まで大会が存在する。

つまり国内だけで約9カ月戦える。

もちろん本州の海で泳げる期間は限られるが、沖縄、屋内・屋外プール、海を組み合わせればかなり長いシーズンになる。


アクアスロンを「独立した競技」として見る

全国の大会を調べてみると、アクアスロンは単なる「バイクのないトライアスロン」ではないと思えてくる。

日本エイジグループ選手権がある。

世界・アジア選手権につながるルートもある。

短距離から1.5km+10kmまで距離のバリエーションがある。

全国各地にレースがある。

そして何より、

バイクを所有しなくても競技として追求できる。

必要なのは泳ぐ場所とランニングシューズだけ。

練習時間も、トライアスロンに比べれば圧倒的に確保しやすい。

仕事をしながら競技力を追求するマスターズ世代にとっては、かなり合理的な持久系競技ではないだろうか。

個人的にアクアスロンを本格的にやるなら、

「7月の日本エイジ選手権を第1ピーク」

「9〜10月の750m〜1km+5kmクラスを第2ピーク」

とする。

その間に短距離レースをスピード練習として入れる。

さらに余裕があれば1.5km+10kmにも挑戦する。

こうすると一年間のトレーニングにも明確なストーリーができる。

アクアスロンは、

泳いでから走る競技ではなく、
「泳いだ直後にどれだけ速く走れるか」を競う競技。

そう考えて一年間追いかけてみると、かなり奥が深い。


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