50代サブ3養生記|東洋医学で整えるマラソン練習

50代ランナーが、サブスリー達成に向けて、30km走・LT走・補給・Garmin・疲労管理・鍼灸・東洋医学的コンディショニングを実体験で検証

世界まであと30秒。日本アクアスロンエイジ選手権で4位、そして新たな目標へ

本日、日本アクアスロンエイジ選手権に出場してきました。

結果はエイジ4位。

世界選手権の出場権が与えられる3位まで、あと30秒。

ゴールした瞬間はやり切った気持ちもありましたが、正式な順位を見た時は「あと30秒だったのか…」という悔しさが込み上げてきました。

バイクが苦手だから始めたアクアスロン

普段はトライアスロンを中心に競技をしています。

トライアスロンはスイム・バイク・ランの3種目ですが、私にとって一番の課題はバイクです。

そこで、「スイムとランだけなら勝負できるのでは」と思い、今年から本格的にアクアスロンへ挑戦しました。

実際に出場してみると、想像以上に競技の世界は違いました。

アクアスロンはトライアスロンとは別競技だった

今回のレースはスイム1km、ラン5km。

トライアスロンと比べると非常に短時間で決着がつきます。

そのため、バイクで差がつかない分、水泳の重要性が非常に高くなります。

実際に出場して驚いたのは、選手たちの泳力です。

トライアスロンでもかなり速い選手が集まっていますが、アクアスロンでは「水泳出身ではないか」と思うようなスイマーが数多くいました。

同じマルチスポーツでも、求められる能力はかなり違います。

トライアスロンとは異なる競技特性を持ったスポーツなのだと実感しました。

それでもアクアスロンは魅力的

一方で、競技そのものには非常に魅力を感じました。

・荷物が少ない ・バイクの準備やメンテナンスが不要 ・遠征もしやすい ・レース運営もシンプル

トライアスロンではバイクだけで大きな荷物になりますが、アクアスロンなら身軽に大会へ参加できます。

競技へのハードルが低く、純粋にスイムとランで勝負できる点は大きな魅力です。

自分自身、この競技には適性があるとも感じました。

課題は大会数の少なさ

唯一の難点は、大きな大会があまり多くないことです。

マラソンやトライアスロンほど大会数がなく、目標となるレースも限られています。

それでも、日本選手権や世界選手権につながる大会はあります。

目標がある以上、挑戦する価値は十分にあります。

次の目標はエイジ日本一

今回は世界選手権まであと30秒届きませんでした。

悔しい結果ではありますが、逆に言えば30秒縮めれば世界が見えてきます。

まだまだ改善できる部分はあります。

スイムを強化し、ランにも磨きをかける。

そして来年は、この30秒をひっくり返したいと思います。

最終目標は、アクアスロンでエイジ日本一。

今日の悔しさを忘れず、また一歩ずつ積み重ねていきます。

マラソンは副交感神経優位ではない

マラソンでは「リラックスして走れ」とよく言われます。しかし一方で、実際に30km走などをしていると、「少し気合を入れて走った方が、むしろ楽に速く走れる」と感じるランナーも多いのではないでしょうか。

一見矛盾しているようですが、これは自律神経を理解すると説明できます。

マラソンは副交感神経優位ではない

まず、マラソン中は基本的に交感神経が優位です。

交感神経には、

心拍数を上げる

筋肉への血流を増やす

エネルギー(糖・脂肪)を動員する

集中力を高める

という役割があります。

42.195kmを走るためには、この働きが欠かせません。つまり、「副交感神経優位で走る」のではなく、適度な交感神経の働きを長時間維持することが重要なのです。

なぜ気合を入れると走りやすいのか

「少し気合を入れた方がフォームが良くなり、脚が回る」という経験は、多くのランナーにあります。

これは交感神経が適度に働くことで、

集中力が高まる

フォームが安定する

筋肉の動員がスムーズになる

ためです。

つまり、適度な交感神経の活性化はパフォーマンスを向上させます。

問題は「交感神経が強すぎること」

一方で、交感神経が過剰になると、

心拍数が高くなりすぎる

糖質を大量に消費する

胃腸への血流が減り、補給が入りにくくなる

身体に余計な力が入りフォームが硬くなる

後半に失速しやすくなる

といった問題が起こります。

レース前半で突っ込み過ぎて後半に失速する典型的なパターンは、まさにこの状態です。

理想は「集中しているけれど力んでいない状態」

フルマラソンで理想なのは、

呼吸は深く安定している

肩や腕に力が入っていない

リズム良く脚が回る

補給が問題なく取れる

心拍数もコントロールできている

という状態です。

これは副交感神経優位ではなく、交感神経を必要以上に興奮させていない状態と言えます。

30km走で意識したいこと

30km走では、毎回レースのように気合で押し切る必要はありません。

目的は、

長時間安定して走る能力を身につけること

エネルギー消費を抑えるフォームを習得すること

補給やペース配分を確認すること

です。

「頑張って走る」のではなく、「楽に速く走る技術」を身につけることが、サブ3への近道になります。

まとめ

マラソンは副交感神経で走る競技ではありません。しかし、交感神経を過剰に高めることも長距離ではマイナスになります。

大切なのは、

「適度な交感神経の働きを維持しながら、リラックスして効率よく走ること」

です。

気合は必要です。しかし、その気合で身体が力むのではなく、集中力だけを高められるようになること。それこそが、長距離ランナーが目指すべき理想の状態ではないでしょうか。

マラソン練習・レース中の塩分補給はどれくらい必要か?

「足つり予防」よりも大事な、汗・水分・ナトリウムの考え方

夏場のロング走やマラソンレースでよく出てくるのが、

「塩分はどれくらい摂ればいいのか?」

という問題です。

ジェル、スポーツドリンク、塩タブレット、経口補水系ドリンクなど、いろいろな商品がありますが、結論から言うと、多くの市民ランナーは“1時間あたりナトリウム300〜600mg程度”を目安に考えると現実的です。

ただし、これは「全員が必ずその量を摂るべき」という意味ではありません。汗の量、気温、走る時間、給水量、体質によってかなり変わります。


まず結論:マラソン中の塩分補給の目安

マラソン練習・レース中の目安は、ざっくり以下です。

条件 ナトリウム摂取の目安

60分以内の軽い練習 基本的に不要。水だけでもよい 60〜90分の練習 暑い日・汗が多い日は少量 90分以上のロング走 300〜600mg/時を目安 暑熱下の30km走・フルマラソン 500〜800mg/時も選択肢 汗が非常にしょっぱい人・塩の跡が残る人 やや多めに調整

ここでいう「塩分」とは、厳密にはナトリウムです。

食塩、つまり塩化ナトリウムは、ナトリウム量に換算すると約40%です。 つまり、

食塩1g ≒ ナトリウム約400mg

です。

そのため、ナトリウム500mgを摂るということは、食塩換算で約1.25gに相当します。


エビデンス上の基準:ACSMは0.5〜0.7g/Lのナトリウムを推奨

アメリカスポーツ医学会、ACSMの運動中の水分補給に関するポジションスタンドでは、1時間を超える運動では、飲料1Lあたりナトリウム0.5〜0.7g、つまり500〜700mg/L程度を含む補給が有用とされています。これは発汗で失われるナトリウムの補充、飲みやすさの向上、体内への水分保持、過剰飲水による低ナトリウム血症リスクの低減に関係します。

これを実際のランニングに置き換えると、たとえば1時間に500〜750ml飲むランナーなら、

ナトリウム250〜525mg/時

くらいになります。

市販のスポーツドリンクだけだとナトリウム量がやや少ないこともあるため、暑い日のロング走では、スポーツドリンク+塩タブレット、または電解質入りジェルなどを組み合わせるのが現実的です。


ただし「塩を摂れば摂るほどよい」わけではない

ここが重要です。

マラソン中の危険なトラブルとして、運動関連低ナトリウム血症があります。これは長時間運動中または運動後に血中ナトリウム濃度が低下する状態で、重症化すると危険です。文献上は、血清ナトリウム濃度が135mmol/L未満になる状態と定義されています。

低ナトリウム血症の主な原因は「塩分不足」だけではありません。むしろ重要なのは、

水を飲みすぎること

です。

2015年の運動関連低ナトリウム血症に関する国際コンセンサスでは、予防の基本として、発汗量や尿量を超えて過剰に飲まないこと、そして喉の渇きに応じて飲むことが強調されています。

つまり、塩タブレットを摂っていても、水を飲みすぎれば低ナトリウム血症のリスクは残ります。


実践的には「水分量」とセットで考える

塩分補給は、単独で考えるよりも、水分補給量とセットで考えた方が分かりやすいです。

目安としては、

飲むもの1Lあたりナトリウム500〜700mg

です。

たとえば、暑い日のロング走で1時間に600ml飲むなら、

600ml × 500〜700mg/L = ナトリウム300〜420mg/時

くらいが一つの目安になります。

一方で、真夏の30km走などで1時間に800ml飲むなら、

800ml × 500〜700mg/L = ナトリウム400〜560mg/時

になります。

このくらいなら、多くの市民ランナーにとって現実的です。


具体例:フルマラソンでの補給設計

たとえば、3時間15分〜3時間30分くらいでフルマラソンを走るランナーを想定します。

暑くない日

水分:400〜600ml/時 ナトリウム:300〜500mg/時 炭水化物:40〜60g/時

このくらいで十分なことが多いです。

暑い日・汗が多い日

水分:600〜800ml/時 ナトリウム:500〜700mg/時 炭水化物:50〜70g/時

気温が高い、湿度が高い、汗でウェアに白い塩の跡が残る、走後に体重が大きく落ちる、というタイプの人は、このくらいを検討してもよいと思います。


塩タブレットは何個必要か?

商品によってナトリウム量が違うので、必ず成分表示を見る必要があります。

たとえば、1粒あたりナトリウム100mgの塩タブレットなら、

目標ナトリウム量 必要な粒数

300mg/時 3粒/時 500mg/時 5粒/時 700mg/時 7粒/時

となります。

ただし、実際にはスポーツドリンクやジェルにもナトリウムが含まれます。 そのため、

スポーツドリンク+ジェル+塩タブレットの合計

で考える必要があります。

たとえば、1時間あたり、

スポーツドリンク500ml:ナトリウム200mg

ジェル1個:ナトリウム100mg

塩タブレット2粒:ナトリウム200mg

なら、合計でナトリウム500mg/時です。

これなら暑い日のロング走としては、かなり現実的な設計です。


「足がつる=塩分不足」とは限らない

よく「足がつるのは塩分不足」と言われます。

もちろん、発汗による水分・ナトリウム損失が関係することはあります。しかし実際には、マラソン後半の足つりは、

筋疲労

ペースオーバー

下り坂やフォームの崩れ

筋持久力不足

暑熱による神経筋疲労

補給不足

脱水

などが複合して起こります。

つまり、塩タブレットだけで足つりを完全に防げるわけではありません。

むしろ、塩分だけに頼るより、

前半突っ込みすぎない

炭水化物を切らさない

暑い日は体温を上げすぎない

ロング走で後半の筋持久力を作る

給水を適量にする

ことの方が重要です。


自分に必要な量を知るには「体重変化」を見る

一番実践的なのは、練習前後の体重を測ることです。

たとえば、

練習前:64.0kg

練習後:62.8kg

練習中に飲んだ量:1.0L

この場合、体重は1.2kg減っています。飲んだ1.0Lも含めると、汗などで約2.2L失ったと推定できます。

2時間走ったなら、発汗量は約1.1L/時です。

このタイプの人が暑い日に水分を300ml/時しか飲まないと、かなり脱水方向に進みます。逆に、発汗量が少ない人が1時間に1L以上飲み続けると、飲みすぎになる可能性があります。

目安として、運動後の体重減少は2%以内に収めたいところです。64kgの人なら約1.3kg以内です。


汗が「しょっぱい人」は多めに考える

汗に含まれるナトリウム量には個人差があります。

以下のような人は、ナトリウム損失が多い可能性があります。

ウェアや帽子に白い塩の跡が残る

汗が目に入ると強くしみる

走後に皮膚がザラザラする

暑い日のロング走で極端にだるくなる

水だけ飲むと胃がチャポチャポする

脚が重くなりやすい

このような場合は、ナトリウム300mg/時よりも、500〜700mg/時を試す価値があります。

ただし、高血圧、腎臓病、心疾患などがある人は、運動中の塩分補給について医師に確認した方が安全です。


私ならこう使う:ロング走・レース別の実践例

90分ジョグ

涼しい日なら水だけでもよい。 暑い日はスポーツドリンクを少し入れる程度。

目安:ナトリウム0〜300mg/時

2時間走・25km走

スポーツドリンクまたは電解質入りドリンクを使う。 汗が多い日は塩タブレットを追加。

目安:ナトリウム300〜500mg/時

30km走

本番に近い補給練習として、ジェル・スポーツドリンク・塩タブレットを組み合わせる。

目安:ナトリウム400〜700mg/時

フルマラソン本番

気温が低ければ300〜500mg/時。 暑い日、汗が多い人、3時間以上走る人は500〜700mg/時を検討。

ただし、給水所で水を大量に飲みすぎない。 基本は「喉の渇き+予定量」でコントロールする。


まとめ:塩分補給は「少なすぎ」より「設計なし」が問題

マラソン中の塩分補給は、難しく考えすぎる必要はありません。

基本は以下です。

60分以内なら基本的に塩分補給は不要

90分以上ならナトリウム300〜600mg/時を目安

暑い日や汗が多い人は500〜700mg/時も選択肢

飲料1Lあたりナトリウム500〜700mgが一つの基準

水を飲みすぎると低ナトリウム血症のリスクがある

足つりは塩分不足だけでなく、筋疲労やペース配分も大きい

自分の発汗量は練習前後の体重で確認する

塩分補給は「多ければ安心」というものではありません。 大事なのは、水分・ナトリウム・糖質をセットで考え、自分の汗の量に合わせて調整することです。

特に夏場のロング走やフルマラソンでは、補給は練習の一部です。 レース本番で初めて試すのではなく、30km走や2時間走の中で、自分に合う量を確認しておくのが一番安全で確実です。

マラソン練習におけるアイススラリーの効果と使い方 ― 暑熱対策を「根性論」ではなく生理学で考える ―

夏場のマラソン練習で一番厄介なのは、脚よりも先に「体温」が限界に近づくことです。 ペースはそこまで速くないのに心拍が上がる。呼吸も苦しい。体が重い。汗が止まらない。集中力も落ちる。

こうした暑熱下のパフォーマンス低下に対して、近年よく使われるようになっているのがアイススラリーです。

アイススラリーとは、細かい氷の粒を含んだシャーベット状の飲料です。単なる冷たい水ではなく、「氷を体内に入れる」ことで体の内側から冷却する方法と考えるとわかりやすいです。


アイススラリーは何に効くのか

結論から言うと、アイススラリーは特に暑い環境での持久運動において、体温上昇を遅らせ、主観的な暑さを下げ、一定条件ではパフォーマンス維持に役立つ可能性があります。

研究では、アイススラリー摂取は通常の冷水よりも深部体温を下げやすく、暑熱下の持久運動の前冷却戦略として有望とされています。特に運動前に摂取することで、運動開始時点の体温を低くし、体温が危険域に達するまでの「余裕」を作るという考え方です。

有名な研究では、暑熱環境下で運動前にアイススラリーを摂取した群は、冷水摂取群に比べて運動前の直腸温が低下し、疲労困憊までのランニング時間が約19%延びたと報告されています。

ただし、すべての研究で明確にタイムが改善するわけではありません。5km走のような比較的短いタイムトライアルでは、深部体温は下がってもパフォーマンス改善までは示されなかった研究もあります。

つまりアイススラリーは「飲めば速くなる魔法のドリンク」ではなく、暑さでパフォーマンスが落ちる場面において、熱ストレスを下げる補助策と捉えるのが正確です。


生理学的には何が起きているのか

マラソン練習中、体内では筋肉が大量の熱を作ります。 走るペースが上がるほど、また気温や湿度が高いほど、体は熱を逃がしにくくなります。

体温が上がると、体は皮膚血流を増やして熱を逃がそうとします。汗も増えます。 しかしその分、筋肉に送れる血流や循環の余裕が減り、心拍数が上がりやすくなります。これがいわゆる暑熱下の心拍ドリフトです。

アイススラリーには主に3つの作用があります。

  1. 深部体温を下げる

氷を含む飲料を体内に入れることで、消化管から体の内部を冷やします。冷たい水よりも氷の方が、溶ける際に多くの熱を奪うため、冷却効果が大きくなります。

これを「ヒートシンク効果」と呼びます。体内に一時的な冷却容量を作るイメージです。

  1. 暑さの感覚を軽くする

暑い中で走ると、体温だけでなく「暑い」「きつい」という感覚そのものがパフォーマンスを制限します。アイススラリーは口腔・咽頭・消化管を冷やすため、主観的な暑さを下げる可能性があります。

ただし、暑さの感覚の改善は個人差があります。メントールマウスリンスの方が主観的な涼しさには効いた、という研究もあります。

  1. 体温上昇までの時間を稼ぐ

マラソンやロング走では、後半に体温が上がりすぎるとペース維持が難しくなります。 運動開始前に体温を少し下げておけば、同じペースで走っても限界温度に達するまでの時間を遅らせられる可能性があります。

この点で、アイススラリーは特に夏場のロング走、ペース走、レース前に相性が良いと考えられます。


どんな練習で使うべきか

アイススラリーが特に有効なのは、以下のような場面です。

気温25℃以上、湿度が高い日

90分以上のロング走

夏場の30km走

暑い日のペース走・閾値走

レース前のウォームアップ後

トライアスロン、アクアスロンなど暑熱下での持久系レース

逆に、涼しい日や短いジョグでは効果は限定的です。 また、暑熱順化を目的にする練習では、毎回アイススラリーで冷やしすぎると「暑さに慣れる刺激」が弱まる可能性もあります。

したがって、日常練習では毎回使うというより、暑くて質を落としたくない重要練習で使うのが良いと思います。


使い方:練習前

最も基本的なのは、運動前のプレクーリングです。

目安は以下です。

練習開始の20〜30分前から、少量ずつ飲む。 一気飲みではなく、数回に分けて摂ります。

研究では体重あたり5〜7.5g/kg程度のアイススラリー摂取が使われることがあります。

体重64kgなら、 5g/kgで約320g、 7.5g/kgで約480gです。

ただし、実際のマラソン練習では胃腸への負担もあるので、最初から500g近く飲む必要はありません。まずは200〜300g程度から試すのが現実的です。


使い方:練習中

ロング走では、練習中にも冷たい飲料やアイススラリーを入れる「パークーリング」も有効です。 研究レビューでも、運動中の冷水・アイススラリー摂取は暑熱下の持久運動パフォーマンス改善に実用的な方法とされています。

ただし、走りながらシャーベット状のものを飲むのは現実的に難しい場合もあります。

実践的には、

公園周回でクーラーボックスに置いておく

5〜10kmごとに少量摂る

自販機やコンビニで冷たい飲料・氷系飲料を使う

レースではスタート前中心に使う

という形が使いやすいです。

ロング走中なら、1回あたり100〜150g程度を目安にして、胃が冷えすぎないか確認します。


注意点:胃腸が弱い人は慎重に

アイススラリーは冷たいものを大量に入れるため、胃腸が弱い人には合わないことがあります。

起こりうる問題は、

胃が冷える

腹痛

下痢

横腹の痛み

一時的な気持ち悪さ

体が冷えすぎてウォームアップ感がなくなる

などです。

特にレース本番で初めて使うのは避けるべきです。 まずはジョグの日、次に短めのペース走、最後にロング走という順番で試すのが安全です。


暑熱順化との関係

夏のマラソン練習では、暑さに慣れること自体も大切です。 暑熱順化が進むと、発汗開始が早くなり、汗をかきやすくなり、同じ運動強度でも心拍や体温上昇が抑えられやすくなります。

そのため、すべての練習でアイススラリーを使う必要はありません。

私なら次のように使い分けます。

暑さに慣れる目的のジョグ → 基本は使わない。水分・電解質補給を優先。

質を落としたくないポイント練習 → 練習前に200〜300g使う。

夏場の30km走・ペース走 → 練習前+途中補給で使う。

レース本番 → スタート前に使う。途中はエイド環境次第。

つまり、アイススラリーは「暑さから逃げる」ためではなく、暑さの中でも狙った練習効果を出すための道具です。


マラソン練習での具体例

夏の30km走の場合

スタート30分前 → アイススラリー200〜300gを少しずつ飲む。

スタート直前 → 口を冷やす程度に少量。

10km → 冷たいスポーツドリンク、またはアイススラリー100g。

20km → 再度100g程度。ジェルや塩分も必要に応じて追加。

終了後 → 体温が高い、心拍が落ちない、熱感が強い場合は冷たい飲料でクールダウン。

運動後のアイススラリー摂取についても、体温や心拍を早く下げる可能性が示されています。


まとめ

アイススラリーは、暑熱下のマラソン練習においてかなり実用的な暑さ対策です。

ポイントは以下です。

冷たい水よりも深部体温を下げやすい

暑さによる心拍上昇や主観的きつさを抑える可能性がある

特に暑い日のロング走・ペース走・レース前に有効

ただし、すべての研究でパフォーマンス改善が出ているわけではない

胃腸への負担があるため、練習で試してから本番に使うべき

暑熱順化を妨げないよう、使う練習を選ぶ

マラソンは脚だけでなく、体温管理のスポーツでもあります。 夏場に「今日は暑いから仕方ない」と練習の質を落とすだけでなく、冷却戦略を取り入れることで、狙った負荷を安全にこなせる可能性があります。

アイススラリーはそのためのシンプルで実用的な手段です。 特に夏の30km走やレース前には、試してみる価値がある暑熱対策だと思います。

【マラソンと重曹水】アルカリ性の水を飲むと速く走れるのか?酸塩基平衡から考える

マラソンやトライアスロンの世界では、

「重曹(炭酸水素ナトリウム)を飲むとパフォーマンスが上がる」

という話を聞くことがあります。

一見すると怪しい健康法のようにも聞こえますが、実はこの考え方には生理学的な根拠があります。

ただし、フルマラソンに本当に有効なのかというと話は少し複雑です。

今回は酸塩基平衡(Acid-Base Balance)の観点から整理してみます。


運動すると身体は酸性になる

まず基本からです。

人間の血液のpHは約7.4。

弱アルカリ性に保たれています。

しかし激しい運動を行うと、

  • ATPの分解
  • 解糖系の活性化
  • 乳酸産生
  • CO₂産生

が増加します。

その結果、

水素イオン(H⁺)

が増加します。

つまり身体は酸性方向へ傾こうとします。

厳密には、

「乳酸が悪い」

のではなく、

「水素イオンの増加」

が問題です。


なぜ酸性になるとパフォーマンスが落ちるのか

筋肉が収縮するためには

  • カルシウム
  • ミオシン
  • アクチン

が正常に働く必要があります。

しかしH⁺が増えると

  • 筋収縮効率低下
  • 神経伝達低下
  • 酵素活性低下

が起こります。

結果として

「脚が動かない」

「乳酸がたまった感じ」

になります。

800m走や1500m走の終盤の苦しさはその典型です。


身体には強力な緩衝システムがある

もちろん人間は簡単には酸性になりません。

身体には

重炭酸緩衝系

H⁺ + HCO₃⁻ ⇔ H₂CO₃ ⇔ CO₂ + H₂O

というシステムがあります。

この

HCO₃⁻(重炭酸イオン)

こそが重曹の正体です。

重曹=炭酸水素ナトリウム

NaHCO₃

です。

つまり重曹を飲むということは、

血液中の重炭酸イオンを増やすことになります。


重曹を飲むと何が起こるのか

血液中のHCO₃⁻が増えると、

運動中に発生したH⁺をより多く中和できます。

つまり

「酸に対する防御力」

が上がるわけです。

これを

Buffering Capacity(緩衝能)

と呼びます。

スポーツ科学の研究では、

重曹摂取によって

  • 400m走
  • 800m走
  • 1500m走
  • 2000mボート
  • 高強度インターバル

などでパフォーマンス向上が確認されています。


実はマラソンには効果が限定的

ここが重要です。

重曹は

短時間・高強度運動

で効果を発揮します。

なぜなら、

強い酸性化が起こるからです。

一方でフルマラソンは、

エリートでも乳酸閾値(LT)付近、

一般ランナーではLT以下で走ります。

つまり、

酸性化よりも

  • グリコーゲン枯渇
  • 脱水
  • 筋損傷
  • 体温上昇

の方が問題になります。

そのため、

フルマラソンでの重曹の効果は限定的です。


サブ3ランナーならどうか

サブ3を狙うレベルになると少し話が変わります。

例えば

  • LT走
  • 1000mインターバル
  • 2000mインターバル

などでは酸性化が起こります。

このような練習前に重曹を摂取すると、

最後の1本を維持できる可能性があります。

つまり、

レースよりも練習で役立つことが多いのです。


最大の問題は胃腸障害

重曹ローディングには欠点があります。

有名なのが

「お腹が壊れる」

ことです。

症状としては

  • 腹痛
  • 下痢
  • 吐き気
  • 胃の張り

など。

実際には効果より副作用が大きく、

レースで失敗する人もいます。

特にマラソンではトイレリスクが致命的です。


アルカリイオン水はどうなのか

市販のアルカリイオン水も人気があります。

しかしこちらは重曹とは別物です。

胃に入ると胃酸によってほぼ中和されます。

血液pHが変化するほどの効果はありません。

科学的には、

アルカリイオン水による運動能力向上のエビデンスは限定的です。

重曹ほど明確な作用は期待できません。


東洋医学的に見ると

東洋医学には酸塩基平衡という概念はありません。

しかし激しい運動後の状態は、

  • 気陰両虚
  • 津液不足
  • 瘀血傾向

として捉えることができます。

そのため、

重曹による「酸の中和」よりも、

  • 水分補給
  • 睡眠
  • 栄養補給
  • 鍼灸による回復促進

の方が全体としては重要になります。


まとめ

重曹水が注目される理由は、

身体の「重炭酸緩衝系」を強化し、運動中に発生する水素イオンを中和するためです。

ただし効果が大きいのは、

  • 400m〜1500m走
  • 高強度インターバル
  • LT以上の運動

です。

一方でフルマラソンでは、

酸性化よりもエネルギー枯渇や脱水の影響が大きいため、効果は限定的です。

サブ3を目指すランナーであれば、レース当日よりもLT走やインターバルトレーニングの質を高める目的で試す価値はあります。

ただし胃腸障害のリスクが高いため、本番でいきなり使うのではなく、必ず練習で試してから使用することをおすすめします。

酸塩基平衡の観点から見ると、重曹は決して迷信ではありません。しかし、フルマラソンの「魔法のサプリ」でもない、というのが現時点のスポーツ生理学の結論です。

マラソン練習に筋トレは必要。でも「出し切らない」が成功の秘訣

マラソンランナーにとって筋力トレーニングは非常に有効です。

実際、近年のトップランナーやトライアスリートの多くは、ウェイトトレーニングや体幹トレーニングを積極的に取り入れています。

しかし、市民ランナーが筋トレを取り入れる際に陥りがちな落とし穴があります。

それは、

「筋トレで出し切ってしまうこと」

です。

今回は、マラソンを速く走るための筋トレの考え方について解説します。


筋トレはマラソンに本当に効果がある

まず大前提として、筋トレはマラソンに有効です。

筋トレによって得られるメリットは多くあります。

  • ランニングエコノミーの向上
  • 着地時の衝撃耐性向上
  • フォーム維持能力向上
  • 坂道や向かい風への対応力向上
  • ケガ予防

特に40代以降のランナーは加齢による筋力低下が避けられません。

筋力が低下すると、後半にフォームが崩れやすくなり、結果的に失速につながります。

そのため、サブ4でもサブ3でも筋トレは積極的に行う価値があります。


問題は「筋トレで疲れ切ること」

筋トレ自体は良いことですが、問題はやり方です。

例えば、

  • スクワットを限界まで行う
  • ベンチプレスで潰れるまで追い込む
  • レッグプレスで翌日歩けないほど追い込む

こうしたトレーニングはボディビルダーやパワーリフターなら有効かもしれません。

しかしマラソンランナーの主戦場は筋トレではありません。

主戦場はランニングです。

筋トレで脚がパンパンになり、

  • インターバルができない
  • ロング走が質低下する
  • 疲労が抜けない

のであれば、本末転倒です。


ランナーの筋トレは「余力を残す」

私がランナーにおすすめしたいのは、

「あと2〜3回できるところでやめる」

という考え方です。

例えば10回できる重さなら、

  • 10回限界までやらない
  • 7〜8回で止める

というイメージです。

いわゆる「RIR(Reps In Reserve)」で言えば、

RIR2〜3程度

になります。

これでも筋力向上効果は十分期待できます。

そして何より翌日のランニングに影響が出にくくなります。


マラソンの主役はランニング

マラソンが速くなるために最も重要なのは、

  • 距離走
  • ペース走
  • インターバル
  • ジョグ

などのランニング練習です。

筋トレはあくまで補助です。

補助トレーニングで疲れて主役の練習ができなくなってしまうのは避けたいところです。

特に仕事や家庭が忙しい市民ランナーは、回復力にも限界があります。

若い頃のように、

「今日は筋トレを出し切った。明日も全力で走る」

というのはなかなか難しくなります。


おすすめの考え方

私自身は、

「筋トレは成功しても疲労感を残さない」

くらいがちょうど良いと思っています。

例えば、

  • スクワット 3セット
  • デッドリフト 3セット
  • 体幹トレーニング 10分

を行っても、

「まだ少しできそう」

という感覚で終える。

すると翌日も普通に走れます。

1回の筋トレ効果は小さく見えるかもしれません。

しかし、年間を通して継続できることの方がはるかに重要です。


まとめ

マラソンランナーにとって筋トレは非常に有効です。

しかし目的は筋トレを強くなることではなく、マラソンを速く走ることです。

そのためには、

  • 筋トレで出し切らない
  • 余力を残して終える
  • 翌日のランニングを優先する
  • 継続できる負荷にする

という考え方が重要になります。

筋トレで100点を取る必要はありません。

筋トレは80点で終え、残りの力をランニング練習に回す。

それが市民ランナーが長く強くなるための、最も現実的な戦略だと思います。

「筋トレを頑張る」のではなく、

「走るために筋トレを利用する」

という発想で取り組んでみてはいかがでしょうか。

練習は「1日2回」に分けた方が続くし強くなる ― マラソン・トライアスロン愛好家への提案

マラソンやトライアスロンの練習をしていると、

「今日は1時間走らなきゃ」 「バイクもやりたいけど時間がない」 「筋トレもしないといけない」

と、やるべきことがどんどん増えていきます。

その結果、

  • 練習を始めるハードルが上がる
  • 時間が取れない日は何もしなくなる
  • 疲労が溜まって継続できない

という悪循環に陥りがちです。

そんな時に私がおすすめしたいのが、

「練習を1日2回に分割する」

という考え方です。

ただし、ここで言う2部練は、

朝10km走って夜も10km走る

という競技者的なハードな話ではありません。

もっと気楽なものです。


2回のうち1回は「軽い練習」にする

例えば、

パターン1

  • 朝:体幹トレーニング10分
  • 夜:ランニング60分

パターン2

  • 朝:バイク20分
  • 夜:ランニング60分

パターン3

  • 朝:ベンチプレス3セット
  • 夜:インターバル走

パターン4

  • 朝:ストレッチ15分
  • 夜:スイム1時間

こんな感じです。

重要なのは、

1回は非常に軽くていい

ということ。

体幹だけ。 ストレッチだけ。 筋トレ1部位だけ。

それでも十分です。


最大のメリットは「自由度」が生まれること

私自身50歳になり、

仕事、 家族、 学校、 トレーニング

を両立しようとすると、

毎日まとまった時間を確保するのは簡単ではありません。

そこで練習を分割すると、

その日の状況に応じて柔軟に調整できます。

例えば、

時間がある日

  • 朝:体幹15分
  • 夜:ラン60分

少し忙しい日

  • 朝:バイク20分
  • 夜:ラン30分

超忙しい日

  • 朝:体幹10分

だけでもOK。

ゼロにならないのです。


「今日は何を削るか」が明確になる

1回しか練習できない日もあります。

そんな時、

最初から2つに分けて考えていると、

優先順位がはっきりします。

例えば、

サブ3を目指すランナーなら

最優先

  • ランニング

次点

  • 体幹
  • 筋トレ

かもしれません。

すると、

忙しい日はランだけ。

逆に脚が疲れている日は、

  • 体幹
  • 上半身筋トレ

だけでもいい。

選択肢が増えるのです。


疲労管理もしやすい

50歳前後になると、

若い頃のように

「毎日追い込めば強くなる」

というわけではありません。

むしろ、

疲労を溜めすぎる方が問題になります。

練習を分割すると、

朝に身体の状態を確認できます。

例えば、

朝の体幹トレーニングで

  • 腰が重い
  • ハムストリングが張る
  • 睡眠不足

と分かれば、

夜の練習を調整できます。

故障予防にもつながります。


習慣化しやすい

実は一番大きいのはこれかもしれません。

人間は、

「1時間練習しよう」

と思うと面倒になります。

しかし、

「体幹10分だけ」

なら始められます。

すると不思議なもので、

運動モードに入ります。

朝に体を少し動かしておくと、

夜の練習への心理的ハードルも下がります。


トライアスロンとの相性は抜群

特にトライアスロンでは、

  • スイム
  • バイク
  • ラン
  • 筋トレ

を全部やりたい。

しかし全部を1回でやると大変です。

例えば、

  • 朝:体幹10分
  • 昼:スイム30分
  • 夜:バイク60分

のように細かく分ければ、

無理なく種目数を増やせます。


まとめ

私は最近、

「毎回完璧な練習をしよう」

という考え方よりも、

「練習を細かく分割して継続する」

方が重要だと感じています。

特に市民ランナーや社会人トライアスリートは、

仕事や家庭との両立が必要です。

1日2回に分けることで、

  • 自由度が上がる
  • 優先順位が明確になる
  • 疲労管理がしやすい
  • 習慣化しやすい
  • 忙しい日でもゼロにならない

という大きなメリットがあります。

「今日は1時間取れないからやめよう」

ではなく、

「体幹10分だけやろう」

と考えてみてください。

その小さな積み重ねが、数か月後、数年後には大きな差になります。