マラソンのトレーニングにおいてデジタルデバイスが提供するデータは、練習の質を向上させるための重要なツールとなることが期待されている。しかし、これらのデータをどのように扱うかが、効率的なトレーニングへの鍵となる。
1. 過信は禁物:データの落とし穴
特に高機能なデバイスでは数多くの指標が測定されますが、全てのデータが有益とは限らない。例えば、Polarのランニングインデックスは、時間、距離、心拍数を基に算出されるが、この数値を盲信してはいけない。インデックスを意図的に高めようとすると、非効率的な走り方(心拍数を下げる→ケイデンスを下げる→飛ぶように走る)に陥りがちであり、実際のマラソン本番での持続は困難になる。
2. 心拍数の測定の限界
心拍数は一見すると運動の強度を示す重要な指標のように思える、その日の体調や環境条件により大きく変動するため、一貫性を持って解釈することは難しい。また、最大心拍数の設定自体が難しいため、過度に心拍数に依存することは避けた方が賢明である。
3. 一貫性のある指標:時間と距離
デバイスが提供する中で最も信頼性が高いのは「時間」と「距離」です。これらのデータは比較的正確であり、長期間にわたって自身の進捗を測定する際の基本となるり。時間の経過と共に距離をより速く走れるようになったかを追跡することで、実際のパフォーマンス向上を感じることができる。
4. 最も重要なのは自身の感覚
デジタルの時代にあっても、自身の身体を感じることが最も重要である。どの程度の強度で走っているのか、どの程度疲れているのか、何か不調はないかを自分自身で把握する能力は、どんな高性能デバイスにも勝るものである。
5. シンプルながら効果的:基本機能の活用
時には、Garminや高機能なPolarよりも、Fitbitのような基本機能に特化したデバイスが、トレーニングにおいては有効かもしれない。これらのデバイスは、必要十分な情報を提供し、トレーニングに必要な基本的なデータに集中することを可能にする。
結論
マラソンのトレーニングでは、高機能デバイスが提供する複数のデータポイントに惑わされず、自身の体調や感覚に耳を傾けることが重要である。データはあくまで補助的なツールであり、本質的なパフォーマンス向上には、自身の身体と向き合うことが不可欠である。