マラソンやトライアスロンのトレーニングをしていると、どうしてもこう思ってしまうことがある。
「20分しかないなら、今日はやってもあまり意味がないのではないか」 「せめて45分、できれば1時間は欲しい」
これは多くの人が感じることだと思う。特に真面目に練習している人ほど、短時間のトレーニングに物足りなさを感じやすい。
しかし、実際には20分という時間はかなり有効である。 むしろ、使い方次第では、しっかりとトレーニング効果を得ることができる。
忙しい大人のアスリートにとって大事なのは、 「長くできる日だけ頑張る」ことではなく、短い時間でもトレーニングの質を確保することだ。
20分は「短い」のではなく、「目的が明確になる時間」
45分や60分時間があれば、ジョグでもビルドアップでも、それなりにメニューの幅は広がる。 一方で20分しかないと、余計なことができない。
だからこそ、短時間練習では自然と問いが明確になる。
この20分で、何を鍛えたいのか。
ここがはっきりすると、短時間トレーニングは一気に価値を持つ。 だらだら走る20分では効果は薄いかもしれない。だが、意図を持って走る20分は違う。
たとえば、
- 心肺に刺激を入れたい
- LT域を触りたい
- 動きのキレを維持したい
- 「今日は何もできなかった」を防ぎたい
こうした目的があるなら、20分は十分に使える。
20分全力で走れば、それは立派なLT走になる
短時間練習の代表例がこれだ。
20分しっかり集中して走る。
この20分は、単なる「短いラン」ではない。 感覚としてはかなりきつく、楽ではないが、完全に潰れるほどでもない。 そういう強度で押していけば、ちょうどLT走に近い刺激になる。
LT走というと、一般には20分〜30分、あるいは2km×3本、3km×2本などの形で行うことが多い。 つまり見方を変えれば、20分という時間は、閾値付近を鍛えるにはむしろちょうどいい長さでもある。
忙しい日に20分だけ確保できたなら、そこで集中して走る。 それだけで心肺にも脚にも十分刺激が入る。
「20分しかない」ではなく、 「20分あるならLT的な仕事ができる」 と考えた方がいい。
忙しい人ほど、短時間の積み上げが効いてくる
大人のトレーニングは、理想通りにはいかない。
- 仕事がある
- 家族の予定がある
- 天気もある
- 疲労状況も毎日違う
- ジムやプールの時間も限られる
その中で、「まとまった時間が取れないから今日はゼロ」としてしまうと、練習の連続性が途切れやすい。 これが一番もったいない。
実際には、競技力を作るのは特別な1回よりも、継続した積み重ねである。 そして継続を支えるのは、必ずしも毎回の長時間練習ではない。
20分でもやる。 短くても質を持たせる。 この発想があると、忙しい生活の中でもトレーニングが途切れにくくなる。
これはマラソンでも、トライアスロンでも同じだ。 まとまった時間が必要な種目だからこそ、逆に短時間を使いこなせる人が強い。
「短い=無意味」ではなく、「短いからこそ濃い」
短時間練習の価値は、体力面だけではない。 精神面でも大きい。
忙しい日にゼロで終わると、どうしても「今日はできなかった」という感覚が残る。 それが続くと、練習への流れ自体が鈍っていく。
一方で、たとえ20分でも集中して走れれば、感覚はまるで違う。
- 今日も1本つないだ
- 体に刺激を入れた
- 練習の流れを切らさなかった
この感覚は非常に大きい。 競技力は、こういう日々の小さな成功体験の上に乗ってくる。
短いから意味がないのではない。 短いからこそ、濃くできる。 短いからこそ、迷わずやれる。 短いからこそ、習慣になる。
20分を活かせる人は、長い練習も活かせる
不思議なもので、短時間を雑に扱う人は、長い時間があっても意外とうまく使えないことが多い。 逆に、20分を大切にできる人は、45分や60分が取れたときにも、その時間を非常に有効に使える。
つまり、短時間練習は単なる「代用品」ではない。 時間の使い方そのものを鍛えるトレーニングでもある。
今日は20分しかない。 なら、その20分で何をするかを決めて、しっかりやる。 この習慣が、忙しい中でも競技力を伸ばしていく土台になる。
まとめ:20分あるなら、十分にトレーニングになる
マラソンやトライアスロンでは、どうしても「練習は長くないといけない」と考えがちだ。 もちろん、ロング走や長めのバイク、ある程度まとまった時間が必要な練習はある。
ただ、それと同時に忘れてはいけないのは、 短時間でもしっかり意味のある練習はできるということだ。
20分しかない日。 そこで何もしないのか、20分を使い切るのか。 この差は、数週間、数か月単位で見ると意外に大きい。
20分全力で走れば、それは立派なLT走になる。 時間がない日こそ、短時間を有効に使う。 忙しい大人のアスリートにとって、これは非常に大事な技術だと思う。